雪玉をぶつけ合ってステージ上で生き残りをかけて争う『Snowball.io』は2018年末に全米のApp Storeでダウンロードランキング1位を獲得。その後も翌4月にリリースした『Traffic Run!』も同じく1位を獲得するなど、日本においてハイパーカジュアルゲームの市場に果敢にチャレンジし、注目していることも多いことでしょう。
そんな芸者東京でチーフ・ハイパーカジュアルゲームプロジェクトを務める田口聖久氏に、改めて芸者東京のゲームビジネスがどのように進められているのか、そのマネタイズにおいて「アプリビディング」を採用している理由、高い収益性を記録しているFacebook Audience Networkの活用方法について伺いました。
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Facebook Audience Networkとは、広告主のFacebookやInstagramキャンペーンを、数千に上る世界中の質の高いアプリに配信可能なアドネットワーク。アプリのデベロッパーは、ユーザー獲得(アプリのインストール)のために広告出稿するだけでなく、パブリッシャーとして広告を掲載することでマネタイズも同時に可能になる。Facebookのターゲティングと収益化機能を効果的に活用することで、パブリッシャーはユーザーのエンゲージメントを高め、競争力のあるCPMを通じてポジティブな効果を得ることができる。(2018年にパブリッシャーに支払われた収益は約15億ドルを記録)*1
*1 2018年1月-12月 Facebook調べ
――改めて芸者東京のゲームビジネスと、どのようにビジネスを大きくしていったのかを教えてください。
田口聖久氏(以下、敬称略)現在、芸者東京はハイパーカジュアルアプリを中心にゲームを作成しており、テストタイトルも含め月に約10本のタイトルをリリースしています。テストマーケティングをクリアしたタイトルに関しては、グローバル向けに大きくプロモーションを展開し、『Traffic Run!』を始め多くのタイトルがアメリカのアプリストアでトップランキングに入りました。各タイトルは、広告を軸にマネタイズしており、現在はアプリビディングで運用しています。
――なぜアプリビディングを利用しようと思ったのでしょうか?また現時点までで、どのようなビジネスインパクトがありましたか。
田口広告枠の売り上げを最大化し、オペレーションコストを削減するためにアプリビディングの導入を決めました。現時点で、アプリビディング導入後に広告収益は5~10%増加しています。なおかつ、1アプリにつき何十個と作成・監視・設定していた広告配置も、各広告スペースごとの3つまで削減できました。
――アプリビディングがもたらす効果の一つに、マネタイズ側のオペレーションの削減がありますよね。今までウォーターフォールのプライス設定などにかかっていた労力がなくなったと思いますが、その浮いた時間で今までできなかったどのような事をされていますか?
田口ハイパーカジュアルゲームにおいてはユーザー獲得とマネタイズの両方が非常に重要になります。そのため、マネタイズ側で空いた稼働は主にユーザー獲得側に回しています。
――アプリビディングを開始するにあたり、プロセスなどは簡単でしたか?また、効果を実感するまでに開始からどれくらいの期間を要したのでしょうか。
田口最初にアプリビディングを開始した際は、1 Bundle ID = 1 Bidding Platformのポリシーがあり困惑しました。我々としては、同じBundle IDで複数のビディングパートーナーでテストをしたかったためです。ただ、現在は比較的スムーズにビディングを新アプリで導入できています。
また、当初は効果測定に約1ヶ月程度かかりましたが、現在は導入直後から収益性の向上やマネタイズにかかる負荷軽減といった効果を実感できるようになりました。
――他のパブリッシャーがアプリビディングを開始するにあたり、何かアドバイスはあるでしょうか?ベストプラクティスやヒントなどがあれば教えてください。
田口現在、Facebook Audience Networkマネタイズをウォーターフォールで運用しているパブリッシャーに向けては、メディエーションが対応していれば実装コストなどはほぼゼロで導入できるので、試してみる価値が大いにあるとオススメしたいですね。ただし、Facebook Audience Networkは、オーディエンスにとってより良いユーザー体験を提供することに注力しているので、ハイパーカジュアルゲームのような広告体験を提供するアプリは、広告を継続して配信するために、コンプライアンス面でFacebook Audience Networkのガイドラインに沿って運用されているかを注意深くモニタリングする必要があります。
――ありがとうございます。改めて、アプリビディングが広告マネタイズで重要な理由はどこにだと思いますか?
田口先ほども申し上げたように、ウォーターフォール運用コストの削減、透明性の高いオークションによる広告枠価値の最大化(収益性の向上)を実現できるという2点が最も大きいと考えています。
――Facebook Audience Networkの活用もマネタイズにおいて高い成果をあげているということですが、具体的にFacebook Audience Networkを活用するメリットやどの程度の収益性になっているかを教えてください。
田口Facebook Audience Networkはリワード動画、インタースティシャルともに高いBid Priceを提供しており、ビディングオークションで勝つ確率も高いのが特徴です。現在アプリビディングを導入しているアプリでは、採用しているアドネットワークの中でも、Facebook Audience Networkは収益比率がトップクラスの重要なアドネットワークとなっています。
――今後2~3年で、ゲームパブリッシャーやゲームエコシステムに大きく影響を与える変化やトレンドは何だと考えているでしょうか?
田口業界全体としてアプリビディングへの移行は必至だと思います。アプリビディングを導入することで、パブリッシャーにとっても、お客様にとっても質の高い広告体験となり、今以上にゲームの面白さ、つまり本質を問われる時代がやってくるはずです。弊社もさらに魅力的なゲームを制作できるよう、そしてより多くのお客様に遊んでいただけるよう励んでまいります!
――ありがとうございました。
田口氏も語るように、ハイパーカジュアルゲームにおいては広告の運用(ユーザーの獲得)、そして広告による収益化(マネタイズ)の両輪が上手く回らねば成功はあり得ません。従来のアイテム課金を軸にしたモバイルゲームでも同じことが言えるとはいえ、やはり集客の方法も何よりマネタイズも大きくビジネスモデルが異なります。関係者に「なぜハイパーカジュアルゲームがここまで注目されるようになったのか?」という疑問をぶつけると、多くの方から「アドテクの進歩が寄与するところが大きい」と返ってきます。
一方で、ゲームは開発できても、アドテクの知識はあまり……というデベロッパーも少なくないと思います。しかし、Facebook Audience Networkを活用することで、ユーザー獲得の広告運用から、マネタイズまで一気通貫で行うことができるのです。FacebookとInstagramのユーザーは月間で30億人を超えており、膨大なユーザーデータを活用してSNSの内外で効果的なプロモーションをでき、同時にユーザーの体験をしないリッチな広告を提供し、裏側ではリアルタイムのビディングで1インプレッションも無駄にすることなく収益性を高めることができます。
国内外でもFacebook Audience Networkを活用した集客とマネタイズの事例も増えてきており、特にハイパーカジュアルゲームに進出しようと考えているデベロッパーにとっては、Facebook Audience Networkの活用がベストな選択肢になるといえるでしょう。
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