ゲームエイジ総研は、同社が運用するマーケティングデータサービス「iGage」のデータを基に、モバイルゲームにおけるVTuberとのコラボの効果に関する調査結果を発表しました。
モバイルゲームにおけるコラボ施策はメジャーなプロモーション手段のひとつで、ゲーム内にイラストを登場させやすいなど、親和性が高いVTuberとのコラボは特に注目されています。
今回は、ホロライブとのコラボを行った『タワーオブスカイ』のユーザーがどのように変化したのかが調査されました。
ホロライブはカバーが運営する日本の女性VTuber事務所で、登録者数が200万人を超える人気タレントも複数名所属しています。主にYouTubeで配信活動などを行いますが、コンビニエンスストアとのコラボ商品の展開、ゲーム内コラボなど、さまざまな業界とのコラボも積極的に行っています。
MIXIが運営する『タワーオブスカイ』は、2023年2月28日にサービスが開始され、同年5月30日からホロライブとのコラボが始まりました。このコラボで、同作のユーザーにどのような動向の変化が生まれたのでしょうか。
利用データ:iGage
参照期間:2022年7月24日~2023年6月4日
5月8日の週と5月29日の週でユーザー数が13倍以上に急増
はじめに、サービス開始以降のユーザー推移を見ていきます。サービスを開始した2月27日の週のWAU(ウィークリーアクティブユーザー数)は11.3万人でしたが、2週目には9.4万人となり、10万人台を下回りました。
4月4日から開始した『モンスターストライク』とのクロスオーバーイベントで減少に歯止めをかけたものの下降トレンドは止まらず、5月8日の週には2万人以下と大きくユーザー数が減少しました。
しかし、5月19日にホロライブとのコラボが告知されると、同週のアクティブユーザー数が5.8万人に増加。さらに翌5月22日の週のWAUは10万人台にまで回復します。
そしてコラボイベントの本番が始まった5月29日の週は、新規ユーザーだけで10万人以上を獲得。継続・復帰を合わせたWAUは20万人を突破しました。
『タワーオブスカイ』はホロライブとのコラボでサービス開始以来最大のWAUを記録し、コラボ開始以前のユーザー数と比較すると13倍以上に増加したことがわかりました。【グラフ1】

コラボイベントで大きく増加したのは10代~20代の男性
では、どのようなユーザーがホロライブとのコラボで『タワーオブスカイ』をプレイし始めたのでしょうか。
性・年代別のDAU(デイリーアクティブユーザー数)の推移を見ると、コラボの発表が行われた5月19日から徐々にユーザー数が増加し、コラボが始まった5月30日に顕著な増加が見られます。
このコラボで増加したのは10代から30代の男性で、その中でも特に10代から20代の男性ユーザーが大きく増加しているのがわかります。【グラフ2】

サービス開始時期と直近では、ユーザー構成はどのように変化したでしょうか。サービス開始週は20代と30代の男性が多く、女性は20代が多くなっています。
しかし、最新週のデータでは10代男性の割合が倍増し、全体の3割を占めるまでになりました。20代男性も増加が見られますが、10代男性ほどではありません。女性も10代が増加しており、ホロライブとのコラボで、多くの若年層ユーザーが新規参入したことがわかります。【グラフ3】

『妖怪ウォッチ ぷにぷに』もホロライブとのコラボで若いユーザー層を獲得した
同様のケースでホロライブとコラボをした『妖怪ウォッチ ぷにぷに』のユーザー推移も検証しました。
レベルファイブが運営する同作は2022年7月27日にコラボイベント開催が告知され、8月1日からコラボが始まりました。自分のスマホを所有していない小学生以下の年少者に人気の高いIPであることから子供が親の端末でプレイするケースも多く、コラボの発表前までは親世代である40代のユーザーがもっとも多くなっていました。
しかし、コラボ発表が行われた7月27日から10代のユーザー数が大きく増加し、さらにコラボが開始された8月1日には10代男性のユーザー数が11.6万人にまで増加。コラボ発表前の4.2万人と比べると、3倍近い数値です。
8月16日にホロライブとのコラボが終了すると時期を合わせるように10代男性のユーザー数が減少していますが、それでもかつての中心ユーザーであった40代男女を上回る数を維持しており、ホロライブとのコラボで10代男性ユーザーが一定数定着したことがわかります。【グラフ4】

『タワーオブスカイ』は、ホロライブとのコラボで10代から20代の男性ユーザーを中心に大きくユーザー数を増加させ、その数は13倍以上に拡大したことが確認できました。
同じようにホロライブとコラボした『妖怪ウォッチ ぷにぷに』も、10代男性が3倍近くに増加していました。
コラボ施策を行うことでユーザー増に成功したモバイルゲームは多々ありますが、その反面、コラボ終了とともにユーザー数が減少するタイトルも見られます。
ゲームに限らず、動画、SNS、マンガアプリなど、スマホでさまざまなコンテンツに接触する若年層をターゲットとするコンテンツは、いずれも「競合コンテンツとの時間の取り合い」という課題に直面します。
コラボによって獲得したユーザーを、その後どれだけ定着させられるのか。『タワーオブスカイ』に限らず、事業継続のために継続して手を打っていくことが重要であるのは変わらない…とゲームエイジ総研はまとめました。