日本貿易振興機構(JETRO)は、アメリカ・サンフランシスコで開催されたGame Developers Conference (GDC2024)」の会期中、Valveの大手PCゲーム配信プラットフォーム・Steamにて、日本産ゲームの特集ページを公開しました。今回は、JETROの担当者に本件についてインタビューを実施しました。
JETROとは?
JETRO(ジェトロ)は、2003年10月に日本貿易振興機構法に基づいて前身となる日本貿易振興会を引き継いで設立された独立行政法人。中小企業など日本企業の海外展開を支援しており、農作物や工業製品はもちろん、ゲームやマンガ、アニメに映画・音楽といったコンテンツの海外展開も支援しています。活動の様子はYouTubeで数多く放送もされ、その範囲は多岐にわたることがよくわかります。
今回インタビューしたのはJETRO デジタルマーケティング部 主幹の牧野直史氏とチームメンバーの伊藤優一氏。牧野氏はこれまでも、アニメや音楽など日本のコンテンツの発信を支援しており、ワルシャワ駐在時にはCD PROJEKTを日本に招待した経験もあるとのことです。
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――今回の事業立ち上げの背景について教えてください。
牧野氏JTEROはコンテンツ領域において、東京ゲームショウなどにおいて海外パブリッシャーと日本のゲーム事業者のマッチングを行っています。全世界75か所にある事務所を活かしてBtoBでの海外展開支援を行っており、これまでもGDCやgamescomでジャパンパビリオンをブース出展していたのですが、新型コロナウイルスの影響で出展が難しくなっていました。
そんな中で、Steamのようなプラットフォームが現れ商流の構築ができるようになるなど、海外展開が従来のやり方と異なる形でできるようになってきたと感じ、立ち上げたのがこの事業です。試験的な取り組みではあるのですが、昨年gamescomに参加した際、ドイツのゲーム業界団体が政府から予算をもらってドイツのゲーム特集をSteam上で実施していたのを見て、これなら日本のゲーム特集をすることで、JTEROの支援領域としても活動できると考えました。BtoBの支援が中心ではあるのですが、日本のゲームが海外においてBtoCで支援を必要としている部分もあるため、取り込んでみようと思いました。
また、商流が変わってきた中でパブリッシャーの役割も変わってきていると思います。従来は海外にライセンス販売などを行っていましたが、海外マーケットへの進出方法が、単なる販売から海外パブリッシャーとのコラボにシフトしてきたため、これまで同様にマッチングが必要と感じています。
Steamページ以外にも、BtoBマッチングのプラットフォーム「Japan Street」も立ち上げて、ゲーム作品の取り扱いを増やしています。こちらはゲームに限定したプラットフォームではありませんが、カタログとして海外パブリッシャーに作品を展示し、商談につながれば通訳もJETROで用意して対応しています。海外パブリッシャーとのマッチングであるBtoBとエンドユーザーへのPRであるBtoCと両方を行っているというわけです。GDCに出展する日本のゲーム会社向けに、サンフランシスコの法律事務所による無料の法律相談ができるようにもしました。
――Steamなどプラットフォームの登場で、海外進出が従来より容易になったのですね。その中で今回GDCをターゲットにしたのはなぜでしょうか。どちらかというとゲーム開発者の技術的なカンファレンスのように思えます。