eスポーツ業界の未来を切り拓く企業たちはどのような勝機を見出したのか【TGS2024 企業ブースインタビュー】 | GameBusiness.jp

eスポーツ業界の未来を切り拓く企業たちはどのような勝機を見出したのか【TGS2024 企業ブースインタビュー】

家具ブランドから自治体、プロチームまで、さまざまな企業が出展しました。

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eスポーツ業界の未来を切り拓く企業たちはどのような勝機を見出したのか【TGS2024 企業ブースインタビュー】
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東京ゲームショウ2024(TGS2024)は、ゲームファン向けのイベントであると同時に、ゲーム業界におけるビジネスマッチングや商談の場としても重要な役割を担っています。

また、今年もインフルエンサーや動画クリエイターが多数来場し、最前線のゲーム体験や出展企業との交流を通じて、情報発信が活発に行われました。

今回は、eスポーツ業界に参入している企業や団体のブースに注目し、参入のきっかけや経緯について担当者にインタビューを行いました。


担当者インタビュー

TGS2024の会場では、数多くの企業や団体が最新技術やゲーム関連サービスを披露していました。その中でも、eスポーツ業界に参入している企業ブースをピックアップし、業界参入の背景や今後の展望について、担当者にお話を伺いました。

それぞれのeスポーツ市場での戦略や取り組みについて深掘りしていきます。

イケア・ジャパン

──今回の出展内容を教えてください。

イケアでは、2024年9月に新しいゲーミングコレクション「BRÄNNBOLL/ブレンボール」を発売しました。日本国内では、19アイテムを展開しています。

主にカジュアルゲーマーをターゲットにしており、軽量で持ち運びしやすい設計が特徴です。また、デザイン性も高く、インテリアとして家での暮らしに自然に溶け込むよう工夫されています。

──eスポーツ業界に参入した背景を教えてください。

イケアは、世界中で約33億人が何らかのゲームを楽しんでいるというデータをもとに、家での暮らしとゲームが密接に結びついていると認識しています。

ゲームは今や家での重要なアクティビティの1つとなっており、イケアは「より快適な毎日をより多くの方々に提供する」というビジョンのもと、eスポーツやゲーミング関連商品の開発に注力しています。

──参入の際にどのような市場調査をされたのでしょうか。

今回のゲーミングコレクションにおいては、全世界で定量・定性調査を行い、とりわけ日本、中国、フランス、スウェーデンでは、実際にゲームを楽しむ方のご自宅に伺うなど、より深く調査を実施しました。

特に日本では、ゲーム文化が非常に根強く、ゲーマーのスタイルも多様です。モバイルゲーム、コンソールゲーム、PCゲームといったさまざまなプレイスタイルに対応できるよう、どんなゲーマーにもフィットするデザインを心がけています。

家の中でどこでゲームをするのか、どんな姿勢で楽しむのか、それぞれに最適な家具を提供することで、より快適なゲーム環境を実現しています。

JeMO(一般社団法人 日本eモータースポーツ機構)

──事業内容を教えてください。

JeMOは、モビリティ車やレースの魅力を広く伝えることを目的に活動しています。東京ゲームショウ2024のブースでは、スーパーフォーミュラのマシンを展示し、試乗体験やシミュレーターによるレースを体験していただいています。

──今回の出展内容を教えてください。

今回の展示では、『iRacing』や『アセットコルサ コンペティツィオーネ』といった、実車に近い挙動を再現したシミュレーターの体験、スーパーフォーミュラのマシンの展示や試乗体験を通してeモータースポーツの普及を目指しています。

現在、リーグに参戦するためのチームパートナーや共創パートナーを募集しており、来年のリーグ開幕に向けた準備を進めています。

──eスポーツ業界に参入した背景を教えてください。

JeMOは、若年層にモータースポーツの魅力を伝えたいという考えから、eスポーツを通じて新たなアプローチを行っています。これまで単発のエキシビションマッチやイベントを通して経験を積み、リーグ開幕に向けた基盤を整えてきました。

リアルモータースポーツでは実現できないような場所や形式でレースを開催できる点を活かし、将来的には渋谷のスクランブル交差点や新宿の街中をコースにしたレースなどを計画しています。来年のリーグ開幕では、各チームが自分の拠点からオンラインで参戦する「ホームアンドホーム形式」を採用する予定です。

どちらかのチームの本拠地で行われる「ホームアンドアウェイ形式」とは異なり、各チームがそれぞれ収益機会を得られる​​eスポーツならではのビジネスモデルを構築しています。

群馬県eスポーツ・クリエイティブ推進課

──事業内容と今回の出展内容を教えてください。

群馬県のeスポーツクリエイティブ推進課は、eスポーツを活用した取り組みを開始して5年目になりました。中核となるのは、全国の19歳以下のチームが参加する「U19eスポーツ選手権」と、eスポーツ実況者の頂点を決める「全日本eスポーツ実況王決定戦」の2つの大会です。

「U19eスポーツ選手権」は、全国の19歳以下のプレイヤーが参加し、最強のチームを決定する大会です。本大会の特筆すべき点は、都道府県や学校の枠にとらわれず、自由にチームを編成できるところです。オンラインを通じて知り合った仲間と一緒にプレイできる柔軟な参加形式を採用しています。

「全日本eスポーツ実況王決定戦」は実況者を対象にした大会で、eスポーツの試合をより魅力的に伝えるために、実況技術を競い合います。審査員にはプロの実況者やスポーツ業界の著名人が参加し、実況者としてのスキルが評価されます。2021年に初めて開催され、以来、実況者の育成と発掘を目的として定期的に行われており、現状は日本全国で唯一のeスポーツ実況者向け大会です。

その他にも様々なeスポーツ大会やイベントを開催しており、若者にeスポーツの魅力を伝え、地域の認知度向上を目指しています。

──eスポーツ業界に参入した背景を教えてください。

県としての認知度や魅力度が全国的に低いという問題意識がありました。特に若者層に対して、群馬県が注目される機会が少ないという課題が浮き彫りになっていました。

こうした状況を打破するため、群馬県の山本一太知事がeスポーツを活用し、群馬県を若者にとって憧れの地にするというビジョンを掲げました。

eスポーツは、特に若者に対する訴求力が強く、オンラインを通じて多くの人々に広がる影響力があります。この力を活かして、群馬県は全国規模のeスポーツ大会を開催し、県外の若者にも「群馬県」を認知してもらうための取り組みを進めています。

また、都道府県や学校の枠を超えた自由なチーム編成を可能にすることで、群馬県独自の大会としての魅力を高め、eスポーツファンやプレイヤーが他の大会とは異なる価値を感じられるように工夫しています。

さらに、eスポーツ実況者を発掘・育成するための大会も導入し、実況者として活躍するチャンスを提供することで、eスポーツ業界全体を支える人材の育成にも貢献しています。実際に、群馬県で開催された「eスポーツ実況決定戦」出身の実況者が、全国の大会やイベントで活躍するといった事例も出てきています。

年々、大会参加者や観客数が増加し、eスポーツを通じた県のプロモーションは着実に広がりを見せています。

REJECT

──今回の出展内容について教えてください。

REJECTは、プロeスポーツチームとして活躍するだけでなく、ゲーミングデバイスの開発にも積極的に取り組んでいます。

2024年9月に新ブランド「REJECT GEAR」を立ち上げ、今回のTGS2024では、すでに販売しているアームカバーや指サックのみならず、自社開発中のマウスソール、グリップテープ、布製マウスパッド、新製品のマウスやガラスマウスパッドなどの展示を行っております。

──新ブランド「REJECT GEAR」について教えてください。

私たちは「世界最高のゲーミングギアブランド」を目指しプロeスポーツチームの特性を最大限に活かした製品の開発と販売を行っています。REJECTには、競技シーンをリードするプロ選手やゲームコミュニティを牽引するタレントが多数在籍しており、製品開発の際には、プロ選手やタレントからの貴重なフィードバックをもとに、チームで徹底した検討・議論を重ねることで、卓越した製品の提供に努めています。

例えば、アームカバーを自社開発した際は、ガラスマウスパッドの市場成長を見越して、形状の工夫、生地の選定、人気マウスパッドとの相性などを確かめながら、最適解を追求しました。

また、コラボレーションしている Arbiter Studio とのガラスマウスパッドの共同開発でも、サイズ感や底面の仕様、表面、色味等ついて、両ブランドの意見を織り交ぜ、幾度も会話を重ねて導き出した製品となっています。

どの製品においても、プレイヤー目線の高品質なものを生み出すために、何度もサンプルを試作し、改良を重ねています。

──どういった経緯で、デバイスを開発するという判断に至ったのでしょうか。

eスポーツチームとして多くのプレイヤーと接してきた経験から、ゲーミングデバイスがゲームの結果を左右する重要な要素であることを痛感してきました。

自らが「本当に使いたい」と思えるデバイスを作るために、自社開発の道を選びました。REJECTが追求するのは、単にデザイン性を重視した商品ではなく、プレイヤーが実際に「勝つためのデバイス」です。

ゲーム中の快適さやパフォーマンスを最大限に引き出すため、開発段階でREJECT所属選手からフィードバックを受け、テストを重ねていきます。特に、プレイヤーの勝利を支える機能性にこだわっており、REJECT GEARの製品にはその考え方が色濃く反映されています。

例えば、デバイスの大きさや形状、ボタン配置、素材の選定に至るまで、選手たちの実際の使用感に基づいて細かく調整されます。

──今後の展望について教えてください。

現状発表している製品ジャンル以外にも、プレイヤーのニーズに応じた多様な製品開発に取り組む予定です。

プロのフィードバックを受けながら、ゲーマーが必要とするものを具現化し続けるために邁進していきます。

そして国内のみならず、グローバルで評価される本格派のギアブランドとして事業を拡大したいと考えています。

まとめ

東京ゲームショウ2024では、eスポーツ業界に新たな風を吹き込む企業が多く集まり、ゲームの未来に向けた様々な取り組みが披露されました。今回のインタビューでは、各企業が持つ独自のビジョンや戦略が垣間見え、eスポーツ市場への参入背景や今後の展望について多くの示唆が得られました。

eスポーツ市場はまだ発展途上であり、各社が持つ独自の強みを活かして市場をリードし、成長を続けています。企業同士の協力や革新を通じ、eスポーツの可能性はさらに広がり、ゲーム業界全体の未来を切り開くでしょう。

《Ogawa Shota》

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