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2017年で4回目の開催となるLive2Dのカンファレンス「alive 2017」。本イベントにて実施された「アバターエージェントサービス × Live 2D」セッションの模様をお伝えします。このセッションにはソニーのエージェント企画開発室の倉田宜典氏が登壇。初めに同氏は、「アバターエージェントサービス」の“沢村碧”を用いて自らの略歴を説明しました。
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倉田氏は1996年にソニーへ入社後、オーディオ製品の組み込みソフトウェアの開発を担当し、2000年から先代「AIBO」の運動系ミドルェア開発や、二足歩行ロボット「QRIO」の音声対話型アプリケーション開発リーダーを担当。2006年以降は、音声対話機能搭載アプリケーション開発に携わり、現在に至ります。また、「Live2D」を活用したプロジェクトとしては、100万DL達成の生活密着型アプリ「めざましマネージャー」や「アバターエージェントサービス」の開発に携わっています。この略歴を紹介する冒頭の映像はこの発表の前日に作られたもので、制作時間は約2時間とのことです。
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「アバターエージェントサービス」が誕生するきっかけとなったのは、同氏が関わった「めざましマネージャー」です。人気ライトノベル「ソードアート・オンライン」のキャラクターであるアスナの人気に支えられていたという前提であったものの、音声合成と生声のハイブリッドを試みたところ「そこそこ悪くない」評判であったことから、次へ繋がったと語ります。
音声合成技術を用いたバーチャルアナウンサーの歴史の中で、特に知名度が高いものとしては、フジテレビの「杏梨ルネ」や、 PS3で配信されたバンダイナムコエンターテインメントの「葛城ミサト報道計画」、ソニーCSLで開発された「オトラテ」が存在します。しかしながら、そのいずれもサービスが終了してしまっています。
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そのことから「果たしてこういったキャラクターが世間で受け入れられるのか?」、これまでに失敗してしまったサービスは「キャラクターの部分で失敗したからではないのか?」と同氏は推測し、2016年の夏に2週間ほど実証実験を行いました。
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この時の実験はLive 2Dを使用せず、1枚ずつの絵を出力して制作するというものでした。この製作工程はA-1Picturesと共同通信と協力して行われたものです。またより完成度の高いコンテンツに仕上げるため、ソニーミュージック系の事務所ミュージックレイン所属の寿美菜子さんに声の収録を、「ソードアート・オンライン」でキャラクターデザインと作画監督を務めた足立慎吾氏にデザインを依頼しています。
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20代から50代までの男女に声をかけ、実際の動画を見てもらい即アンケートを取ると言う実験を行ったところ、評判は半々になるだろうという予想に反し、肯定的に捉える人が全体の75%以上を占めました。、「キャラクターがニュースを読んでも嫌じゃない」という結果が出たことに、ここまで日本でのキャラクターに対する親和性などが高くなっているのかと驚いたとのことです。
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また合成音声で発されたニュースへの理解度に関してのアンケートでは、理解できた人の割合が実に90%以上を誇る結果となり、音声合成技術を用いてニュースを伝えることが出来ると証明できたと語ります。さらに、これらのデータが今現在運用されているバーチャルアナウンサーへ繋がったと同氏は加えます 。
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また、この渋谷での実験の結果に関して、デジタルサイネージアワードの"技術・ハードウェア賞”を受賞したとも述べました。
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プロトタイプから商用化に移行する中で、開発にLive 2Dを用いるようになり、細かなキャラクターの設定なども設けられるツールの開発をはじめたようです。2017年8月に正式リリースされた時には、各方面への協力などによりTwitter上で話題にすることができたと話します。
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このようにこれまでの経緯を述べた上で、改めて「アバターエージェントサービス」の沢村碧について説明が行われました。このサービスを用いれば、原稿と写真を用意するだけで、ニュース風の映像を簡単に制作することが出来ます。ルーティンワークで作ることに慣れてくれば、5分から10分ほどで綺麗に読ませることができるようになるといいます。アクセントや間は自動で調整されますが、必要に応じて細かく調整できることもできます。この沢村碧は、すでにラジオやテレビ番組で活用されています。
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続いてLive2Dデザイナーの仲間晶子氏が登壇し、沢村碧のモデルについて解説が行われました。
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沢村碧は、「リアルタイムにニュース原稿を読む」ということを自然に表現するため、Unityのアニメーションシステム”メカニム”上で動作を組み合わせています。また、リップシンクに合わせ呼吸、瞬き、うなずき、身じろぎをすることができます。
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沢村碧のデザインが誕生した経緯については、キャラクターデザインから3Dモデル、そしてLive2Dモデルへと段階を経て現在の形に至ったとのことです。Live 2Dの強みでもある「イラストをそのまま動かす」という部分に注力しており、Live2Dらしい手塗りのイラストへと変換しています。
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背景は3Dで表現されているためカメラが回り込むような演出にも対応できますが、通常のLive2Dモデルは横軸の回転がプラスマイナス30°ぐらいまでしか設定されていないことが多く、回り込む演出への対応は難しいものとなっています。
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しかし、この沢村碧モデルは、通常より深い可動領域を実現しています。
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これは正面からは見えないパーツを仕込んだり、斜めになる時に腕が服の上にくるようにするなどの工夫を施しているからです。
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さらに「おじぎ」という深い縦軸の動きも対応。横軸と同じように縦軸でも、正面からは見えない後頭部を仕込んでいるため、おじぎの表現ができます。
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また衣装は現在5パターンが実装されており、季節やニュースの内容によって選択できるようになっています。(PSDでインポートして使用)
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最後に仲間氏は、「沢村碧が読むニュースだけじゃなく、彼女の仕草や表情にも一緒に注目してほしい」と述べ、モデルについての解説を締めくくりました。
そして再び倉田氏が登壇。リリース後の反応については、Webメディアやテレビ局などが好意的に反応したとのことでした。フジテレビ運営のニュースメディア「ホウドウキョク」などでも取り上げられています。
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取り上げた番組の中で、「アナウンサーの仕事が今後消えるのではないか」という懸念が指摘されましたが 「農業が手作業から機械化されるように、このような仕事においても人間はもっと上の知能を使うような作業すればいいのではないか」との意見もあり、好印象だったと話します。
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またサービス導入状況については、 愛媛新聞社のホームページ/オンラインアプリやJR東海の名古屋新幹線口前の大型サイネージ、国際放送機器展 interBEE2017、TBSラジオの「THE FROGMAN SHOW」、ソニースクエア渋谷での活用例が紹介され、セッションの締めとなりました。