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低迷していたグリーの業績に光明が差しました。
2022年6月期の売上高は前期比18.5%増の749億600万円、営業利益は同5.9%増の114億9,800万円の増収増益で着地。営業利益率は15.3%となり、前年同期の8.5%から6.8ポイントも上昇しました。
業績好調の背景にあるのが、2022年2月にリリースしたドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド』のヒット。配信3日で100万ダウンロードを突破しました。ヒットの裏には巧みなマーケティング戦略があります。
ゲーム事業を再び成長戦略の柱へ
グリーが通期の営業利益率で2桁台となったのは、2018年6月期以来4期ぶり。長引く低迷期から抜け出しました。
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※決算短信より(営業利益率の目盛りは右軸)
グリーは2019年6月期と2020年6月期が減収、2021年6月期は売上高が微増に留まっており、トップラインを伸張させることが一番の課題でした。2022年6月期の業績はグリーの方向性を示す分水嶺となりそうです。
『ヘブンバーンズレッド』が息の長い人気を獲得し、会社の業績をけん引するIPとなるか。また、それ以外のタイトルをヒットへと導くことができるのか。グリーの今後の注目ポイントは売上高を伸ばしているかどうかです。
実は低迷期のグリーはゲーム事業をベースとし、広告・メディア事業、メタバース事業で会社を成長させようと計画していました。しかし、2022年3月以降はゲーム事業を主軸としつつ、メタバース事業で大きく稼ぐ方面へとシフトしています。課題だった売上高伸張のためにあれこれ戦略を練ったものの、最終的には原点回帰しました。
■2020年6月期に示した成長戦略
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■2022年6月期に示した成長戦略
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※決算説明資料より
グリーは2017年4月リリースの「アナザーエデン」、2017年6月「シノアリス」のヒットを受け、運営体制の強化を行っていました。『ヘブンバーンズレッド』は長い時間をかけた取り組みがようやく実を結んだ成果と見ることができます。