アカツキの2023年3月期上半期の売上高は前年同期間比1.8%増の128億7,000万円、営業利益は同1.6%増の37億7,700万円でした。
増収増益にはなっているものの、2022年3月期上半期の売上高は前年同期間比24.2%減、営業利益は同47.7%減でした。大幅な減収減益からの微増で、回復からは程遠い状態が続いています。
アカツキは全盛期の2019年3月期に営業利益率が48.5%となり、同時期の任天堂(20.8%)、カプコン(18.1%)などの大御所を大きく上回っていたほか、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(28.0%)、MIXI(28.5%)といった新興企業も引き離す圧倒的な収益性を誇っていました。
アカツキの現在の営業利益率は29.3%。稼ぐ力が失われています。
業績が伸び悩んだ背景の一つに、主力のゲーム以外の事業への投資を行ったことが挙げられます。ライブイベントやIPの創出など、ゲーム事業への投資が置き去りにされました。その反省点として、ゲーム事業への200億円の投資と、1タイトルの開発費を10億円から30億円に引き上げる計画を立てています。
周辺事業に注力したことが裏目に
アカツキの2022年3月期の売上高は前期比15.5%減の262億7,300万円、営業利益は同34.1%減の74億4,800万円でした。営業利益率は28.3%。コロナ特需の好影響を受けることなく、2021年3月期は減収。このタイミングで業績の伸び悩みが鮮明になりました。
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※決算短信より
アカツキの成長をけん引したタイトルが『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』。2015年1月30日にリリースされ、2021年8月に世界累計ダウンロード数が3億5,000万を突破したと発表しました。更に『ロマンシング サガ リ・ユニバース』が2018年12月6日の配信初日に200万ダウンロードを超えるなど好調。2018年12月に1,000万を突破しています。
『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』はバンダイナムコエンターテインメント、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』はスクウェア・エニックスとの協業タイトル。アカツキは他社IPへの依存度が高く、それを課題の一つととらえていました。
■アカツキの主力タイトル
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※有価証券報告書より
2017年6月27日にリリースした『八月のシンデレラナイン』は2019年4月に100万ダウンロードを超えましたが、会社の成長をけん引するタイトルにはなれませんでした。
業績が頭打ちになる2019年3月期ごろまでは、別事業としてリアルエンターテインメントに注力していました。2017年11月に横浜の複合施設『ASOBUILD(アソビル)』を運営するASOBIBA(現:アカツキライブエンターテインメント)を買収。2019年に誕生した『うんこミュージアム YOKOHAMA』は累計来場者数が40万人を超えるなど一定の成果が出ました。
しかし、2020年に入って新型コロナウイルス感染拡大が鮮明になると、この分野への投資を抑制。自社IPの創出へと舵を切ります。