ゲームの受託開発専門企業の大手トーセが営業利益率を高めています。
2022年8月期の営業利益率は8.3%。前年同期から3.8ポイントも上昇しました。2023年8月期は更に1ポイント高い9.3%を予想しています。2023年8月期第1四半期の営業利益は11.1%で着地しており、堅調な滑り出しを見せました。
しかし、開発案件に対する工数を対価とするビジネスモデルである以上、利益率を高める最も効率的な方法は人件費の削減。トーセは従業員の離反を防ぐために報酬の水準を一時引き上げましたが、2022年8月期に従業員の平均年収は400万円を下回りました。人材育成、強化という経営方針と反して現場は疲弊する姿が浮かび上がり、人件費の削減は中長期的には経営の負の要因にもなりかねません。
スクウェア・エニックスへの依存度が高いトーセ
トーセは1979年11月に制御装置の製造などを行っていた東亜セイコーから分離独立した会社。当初は業務用ゲーム機の開発を行っていました。代表的なアーケードゲーム機『サスケVSコマンダー』は、タイトーの『スペースインベーダー』やナムコの『ギャラクシアン』とほぼ同時期に発売された人気ゲームです。
1982年8月に家庭用ゲーム機の開発を行いますが、1984年4月にファミリーコンピューター用ソフトを開発してから、ソフト開発へと注力していきます。現在は家庭用ゲーム機向けのソフトとスマートフォンゲームを開発しており、ゲームソフト関連が売上高の7割、モバイルコンテンツが3割を占めています。
2022年8月期の売上高は前期比5.0%減の56億6,200万円、営業利益は同76.2%増の4億6,900万円でした。トーセは2021年8月期に開発していたゲームの大規模な改修作業が発生。この期は営業利益率が6.5%から4.5%まで低下しました。2022年8月期はその遅れを取り戻して利益は回復しました。
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※決算短信より
2022年8月期はモバイルコンテンツ関連の運営売上が減少したために減収となりましたが、2023年8月期の売上高は前期比10.5%増の62億5,600万円を予想しており、増収増益となる見込みです。