
ブシロードのゲーム事業であるデジタルコンテンツユニットの業績が冴えません。
同セグメントにおける2024年6月期第1四半期(2023年7月1日~2023年9月30日)の売上高は、前年同期間比4割減の12億9,300万円でした。2023年のブシロード最大の痛手が、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2MIRACLE LIVE!(以下、スクフェス2)』の失敗。4月15日に満を持してリリースしましたが、2023年6月期に当初の収益性が得られないとして、減損損失を計上。わずか2か月で回収可能価額をゼロにする会計処理を行っていました。
これにより、『スクフェス2』の資産価値はゼロになりました。
ブシロードは主力タイトルの1つである『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(以下、ガルパ)』に経営資源を集中することもできましたが、1Qは大幅な減収で着地をしています。
ファンを満足させられなかった『スクフェス2』
ブシロードは2024年6月期(2023年7月1日~2024年6月30日)の売上高を前期比4.5%増の510億円、営業利益を同40.9%減の20億円と予想しています。大幅な減益を予想。重荷になっているのが、ゲーム事業です。『スクフェス2』は減損損失によって今後は減価償却費が発生せず、費用負担は軽くなったものの、赤字運営を継続しているでしょう。
前作である『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル(スクフェス)』『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(スクスタ)』の2タイトルはすでにサービスを終了しており、『スクフェス2』は「ラブライブ!」ファンの受け皿となるはずでした。『スクフェス』は開発元であるKLabの大躍進を支えたタイトル。しかし、『スクフェス2』ではKLabが開発から撤退するなど、リリース前から内容を心配する声が上がっていました。
案の定、クオリティ面でファンを満足させることができず、批判が噴出します。ブシロードの目論見は外れました。
ブシロードは中期経営計画の中でゲーム事業に言及し、運営費の適正化を行った上で、黒字見込みのないものは撤退すると明言しています。『スクフェス2』は減損損失という運営費の適正化を行いました。
アイドルゲームは「アイドルマスター」シリーズに人気が傾いており、ここから『スクフェス2』を盛り上げるのは難易度が高いでしょう。強力なIPであることから早期サービス終了するとは考えづらく、他の企業に譲渡する可能性が高いと考えられます。
ゲーム事業が利益の下押し要因になっている可能性は高く、いかにして不採算ゲームを整理するのかは注目のポイントです。