ゲームのデバックサービスを提供するデジタルハーツホールディングスの業績が堅調です。
2023年3月期第3四半期の売上高は前年同期間比26.5%増の268億7,900万円、営業利益は同0.8%増の21億4,000万円でした。2023年3月期の売上高を355億円と予想しており、前年同期比21.7%増加する見込みです。
デジタルハーツは東京証券取引所第一部(プライム市場)への市場変更以来増収を続けていますが、2022年3月期からは20%超のハイペースで成長しています。
成長を支えている要因の一つに巧みな人事があります。2023年4月1日からCFO(最高財務責任者)だった筑紫敏矢氏を、COO(最高執行責任者)とする新体制を発表しました。これこそが第3の成長ステージへの号砲となるでしょう。
売上平均成長率15%をキープ
デジタルハーツは、現在の会長である宮澤栄一氏が2001年にフリーター仲間と立ち上げた有限会社デジタルハーツが前身。ゲームやパチンコ機器向けのデバックサービスを提供していました。その後、パチスロや携帯電話のアプリケーションのデバック、企業が構築したサイトの脆弱性診断など、提供するサービスの領域や内容を更新していきます。
2008年2月にマザーズ市場に上場。2011年2月に第一部に市場変更しました。
デバックというニッチ産業ですが、成長力は衰えていません。2015年3月期から2023年3月期(予想)の平均成長率は15.3%。特に2022年3月期からは拡大ペースが上がっています。
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※決算短信より
デジタルハーツはゲームのデバックにこだわり、市場の伸長に合わせて業績を拡大したわけではありません。2017年3月期の売上高は前期比2.9%増の154億4,400万円で、ほぼ横這いでした。この時期に華麗な事業の多角化を成し遂げます。
ゲーム会社向けのエンターテインメント事業とは別に、企業のWebサイトを対象にシステムテスト、脆弱性診断などを行うエンタープライズ事業を強化したのです。その事業の中核を担う人物として指名されたのが現在の社長である二宮康真氏でした。