ソニー2023年3月期ゲーム事業の売上高は前期比33.0%増の3兆6,446億円、営業利益は同27.8%減の2,500億円となりました。営業利益率は前期の12.6%から6.9%へと大幅に低下しています。
今回の決算はソニーの方向性をよく表しています。PlayStation5の売れ行きが好調で売上高を伸ばし続けている一方で、Bungie買収の影響を色濃く受けているのです。当たり外れの影響が大きく利益率も低いハード依存からの脱却を図り、ソフトを強化して利益率を高めようとする過渡期に差し掛かっていると見ることができます。
PlayStation5の今期販売目標を強気の2,500万台に設定
ソニーは2023年3月期の期首にゲーム事業の売上高を3兆6,600億円、営業利益を3,050億円と予想していました。売上高はほぼ予想通りに着地したものの、営業利益率は予想比18.0%減という厳しい結果に終わりました。
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※決算説明資料より
増収に寄与した要因は大きく2つあります。1つはPlayStation5の販売台数が好調なこと。もう1つが円安効果です。
PlayStation5は2023年3月期4Qに630万台を販売し、1-3月という期間において過去最高の販売台数を記録しました。通期で1,910万台を売っています。販売台数は2022年3月期と比較すると、驚くほど数字が改善されているのがわかります。2022年3月期4Qの販売台数はわずか200万台でした。2023年3月期は3倍以上に跳ね上がっています。
■PlayStation5の四半期ごとの販売台数推移(単位:百万台)
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※補足資料より
主要因は半導体不足が解消されたため。ソニーはPlayStation5の流通在庫の正常化が進み、ほぼ全世界で待たせることなく顧客のもとに届けられる体制を整えたと発表しています。販売台数の2023年3月期3Qが710万台で急増しているのがわかります。クリスマスシーズンを迎えるこのタイミングで流通の正常化が行えたのでしょう。
ソニーは2024年3月期の販売台数目標を2,500万台という高い目標を掲げました。四半期に625万台販売しなければ達成できない数字です。
確かに、2023年3月期4Qは品不足が続いていたために、3Qの反動減を大幅に抑制することができました。2024年3月期の目標である2,500万台は、この売れ行き好調な状態を最低ラインとして通年キープしなければなりません。2023年3月期4Qが一時的な需要増なのか、一年を通してそれだけの需要があるのもなのか。ソニー2024年3月期1Qの決算で見るべき一番のポイントはここになるでしょう。
■歴代PlayStation販売台数
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なお、ヒットモデルとなったPlayStation4は販売から5年7か月で販売台数1億台を突破しました。PlayStation5は2023年3月末時点で3,840万台。半導体不足という不運に見舞われ、PlayStation4の記録を打ち破るのは不可能に近いでしょう。