2023年3月期は業績予想を下回ったコナミグループが、今期は大躍進する可能性があります。『桃太郎電鉄ワールド~地球は希望でまわってる!~』のリリースを控えているためです。
桃鉄は2015年にシリーズの終了を宣言しましたが、2016年に復活。2020年に『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』を世に送り出して350万本のヒットタイトルとなりました。
『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~』はNintendo Switch用のソフトで、13年ぶりに世界を舞台とした力の入ったゲームです。
ただし、コナミは主力のパワプロや遊戯王シリーズの人気が落ちており、桃鉄への依存度が高くなる可能性があります。中長期的にはそれがリスク要因となるでしょう。
パワプロを100円で販売したコナミの真意は?
コナミは2023年3月期の売上高が前期比4.9%増の3,143億2,100万円、営業利益が同38.0%減の461億8,500万円でした。増収で売上高は3,000億円を突破したものの、本業での稼ぎである営業利益は4割近い減益でした。
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※決算短信より
2023年3月期の期首予想は、売上高が3,200億円、営業利益が810億円でした。売上高は予想を1.8%、営業利益においては43.0%も下回るという悲惨な結果に終わりました。
コナミは売上高のおよそ7割を、ゲームソフトのデジタルエンタテインメント事業が占めています。2023年3月期のゲーム事業単体においては、減収減益となりました。セグメント利益は前期と比較して3割落ちています。
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※決算説明資料より
コナミは2023年2月に業績の下方修正を発表しており、その理由としてゲーム事業の一部タイトルの収益計画を見直したと発表しています。すなわち、2022年4月から2023年3月までにリリースしたタイトルの一部が、販売計画を下回ったということです。
2022年4月21日に『eBASEBALLパワフルプロ野球2022』、9月5日には『遊戯王クロスデュエル』をリリースしています。更に2023年2月9日には『WBSC eBASEBAL パワフルプロ野球』を配信しています。
■コナミのラインナップ
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※決算説明資料より
どれもコナミの主力タイトルですが、販売不振に悩まされたのでしょう。パワプロの最新作はダウンロード価格が100円という驚異的な安さで提供しました。コナミの狙いはパワプロファンの裾野を広げることだとしていますが、価格競争力を極限と言えるまで高めなければ売れなくなっていると見ることもできます。
すなわち、シリーズにラインナップされているタイトルが飽和しているのです。成長をけん引するシリーズが失速していることは、コナミ最大のネガティブ材料でしょう。