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コーエーテクモホールディングスの本業での業績に影が差しています。
2025年3月期第1四半期(2024年4月1日~2024年6月30日)は減収、大幅な営業減益となりました。コーエーは『仁王』などを手がけた「Team NINJA」による大作『Rise of the Ronin』を2024年3月22日にリリースしています。会社側は『仁王』シリーズを超える滑り出しと説明していましたが、2024年4月から6月末までのコンソール分野販売本数は前年同期間を下回りました。
下期で巻返す計画を立てているものの、市場の反応はやや冷淡であるように見えます。
通期業績への進捗率に遅れ?
2025年3月期第1四半期の売上高は前期比3.8%減の176億700万円、営業利益は同23.8%減の57億2,300万円でした。コーエーは2期連続で第1四半期を減収減益で通過していることになります。
第1四半期の業績における一番のポイントは、通期業績予想を達成できる見込みがあるかどうか。コーエーは2025年3月期の売上高を前期比6.4%増の900億円、営業利益を同5.3%増の300億円と予想しています。
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※決算短信より筆者作成
第1四半期を通過した時点で売上高の進捗率は19.6%、営業利益は19.1%でした。
実はコーエーは前期(2024年3月期)に2度にわたる業績の下方修正を発表しています。期首予想では売上高を950億円、営業利益を375億円としていました。しかし実際の売上高は期首予想から11.0%低い845億8,400万円、営業利益は24.0%低い284億9,400万円でした。
前期第1四半期での期首予想に対する売上高の進捗率は19.3%、営業利益は20.0%。今期第1四半期の進捗率とよく似ています。
コーエーは2025年3月期の業績予想について、前期の実績に基づいて保守的に計画したものと説明しています。しかし、計画値への信頼が揺らいでいる様子は、株式市場の数字にも表れています。
コーエー株の2024年7月30日の終値時点でのPERは15.8倍。スクウェア・エニックス・ホールディングスが21.6倍、カプコンが28.7倍、コナミグループが26.5倍です。競合が20倍以上をキープする中、コーエーの数字が冴えません。
PERは株価収益率のことで、株価が1株あたり純利益の何倍まで買われているのかを見る指標。純利益は通期業績予想のものを使います。つまり、コーエーが業績予想を達成することに対して、投資家は懐疑的な目を向けていると捉えることができるのです。
従業員の数は増えるも人件費は減少
株式市場におけるコーエーの異変は2024年3月に起こっていました。3月22日の始値は1,788円。この日は3.0%安い1,735円で引けます。それ以来、株価は低調に推移し、5月30日には一時1,220円の安値をつけました。その後はやや持ち直したものの、1400円~1500円台で推移しています。
3月22日は『Rise of the Ronin』のリリース日。その日を境に株価は低空飛行を続けることとなったのです。