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2024年1月は、2023年11月に『東方幻想エクリプス』、2024年9月に『メテオアリーナ』をリリースしたケイブが上半期決算。受託開発や人材派遣のシリコンスタジオが本決算を発表します。本稿では、注目の企業をピックアップするとともに、決算発表を予定する企業を一覧で紹介します。
連載「ゲーム企業の決算を読む」はこちら。
『メテオアリーナ』リリースは業績にプラスかマイナスか?
1月14日はケイブの2025年5月期第2四半期(2024年6月1日~2024年11月30日)決算発表日。
2023年11月に『東方幻想エクリプス』をリリース。1年経過した結果を見るタイミングです。このゲームは総ダウンロード数が55万を突破。同社が扱うゲーム『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』とのコラボ企画を実施するなど、新規流入施策を行っていました。2024年9月には子会社のでらゲーを通じて『メテオアリーナ』も配信を開始。
ケイブは2022年9月に『モンスターストライク』を手がけるでらゲーを50億円で連結子会社化していました。2023年5月期の売上高は前期の5倍に急増。2024年5月期はでらゲーの業績がフル寄与したこともあって8割近い増収。売上高は122億7,400万円まで拡大していました。ケイブの一番のポイントは、ここからいかなる成長軌道を描くか。そうした中でリリースしたのが『東方幻想エクリプス』でした。
2025年5月期第1四半期(2024年6月1日~2024年8月31日)の売上高は前年同期間比36.2%増の29億7,100万円、営業利益は同92.1%増の1億2,900万円でした。通期の業績予想は開示していません。
『メテオアリーナ』はダウンロード数に関する情報が乏しく、売上貢献は限定的である可能性があります。更にリリースしたことで運営費と償却費が発生。売上の伸びが限られた場合、利益の下押し要因にもなりかねません。
上半期の決算発表は、ケイブのM&Aによらない本質的な成長力を見ることができるでしょう。
受託開発と人材派遣の両方が振るわないシリコンスタジオ
1月14日はシリコンスタジオが2024年11月期(2023年12月1日~2024年11月30日)本決算を発表します。
2024年10月に通期業績の下方修正を発表。売上高を従来予想の3.8%減となる44億2,400万円、営業利益は41.7%減の1億4,800万円に引き下げました。今期は減収減益での着地がほぼ確定的。
受託開発事業ではゲーム環境開発の請負が減少し、子会社の事業構造改革を通して一時的な売上減も発生。ゲーム企業の採用意欲も減退し、人材紹介事業も落ち込みました。2024年11月期第3四半期累計(2023年12月1日~2024年8月31日)における受託開発事業の売上高は前年同期間比4.8%減の19億7,600万円、人材事業は同8.8%減の12億3,300万円となっていました。
受託開発では1月9日にトーセも第1四半期の決算を発表します。前期は大幅な減収でした。受託開発の領域はゲーム業界の行く末を占う試金石となります。多くの会社は開発費の増加に頭を悩ませており、プロジェクトの本数を絞り込む傾向が強まってきました。特にモバイルゲームの開発は先行きが不透明。緩やかな縮小が続く可能性もあります。
シリコンスタジオは新規需要が期待できる配信系エンターテインメント業界へのアプローチを強化中。ゲーム事業への過度な依存を脱し、業界の分散を図ろうとしています。来期の取り組みも注目のポイントとなるでしょう。
中国で大人気のアニソンアーティストのライセンス契約を締結
1月14日はオンラインクレーンゲーム『トレバ』のが、2025年5月期第2四半期(2024年6月1日~2024年11月30日)の決算を発表します。
サイバーステップは主力の『トレバ』が振るわず、減収が止まりません。3期連続の2桁減収、4期連続の最終赤字でした。赤字が止まらないために資金調達に奔走中。2024年11月に創業者・佐藤類氏が筆頭株主から外れ、第三者割当増資を引き受けた合同会社シーディーワンが13.72%の株式を保有する第1位の株主となりました。
シーディーワン社は資産運用と経営コンサルタントを行う会社。ゲーム業界との関連が薄く、サイバーステップはマネーゲームに巻き込まれる可能性もあります。
2024年5月にスーパーディレクション社に所属する音楽ユニット「GARNiDELiA」のマーチャンダイジングの企画・製造・販売に関するライセンス契約を締結。同年10月から事業を開始すると発表し、商品開発費として8億1,800万円、ライセンス契約費用2億円、プロモーション費用1億7,000万円を投じるとしていました。
「GARNiDELiA」は中国で大人気のアーティストですが日本ではあまり知られていません。サイバーステップは『トレバ』で培ったグッズの仕入、物流網などを活用できるとしています。このアーティストのグッズを日本で販売するだけでヒットさせることは難しいでしょう。中国展開が視野に入っていると考えられますが、いかなる青写真を描いているのかが見えてくるのではないでしょうか。
決算発表スケジュール
証券コード | 会社名 | 決算発表日 | 種別 | 決算期末 |
4728 | トーセ | 1/9 | 第1四半期 | 8/31 |
4763 | クリーク・アンド・リバー社 | 1/9 | 第3四半期 | 2/28 |
6552 | GameWith | 1/10 | 第2四半期 | 5/31 |
9278 | ブックオフグループホールディングス | 1/10 | 第2四半期 | 5/31 |
3815 | メディア工房 | 1/10 | 第1四半期 | 8/31 |
4829 | 日本エンタープライズ | 1/10 | 第2四半期 | 5/31 |
4343 | イオンファンタジー | 1/10 | 第3四半期 | 2/28 |
3697 | SHIFT | 1/14 | 第1四半期 | 8/31 |
6047 | Gunosy | 1/14 | 第2四半期 | 5/31 |
7610 | テイツー | 1/14 | 第3四半期 | 2/28 |
3760 | ケイブ | 1/14 | 第2四半期 | 5/31 |
3810 | サイバーステップ | 1/14 | 第2四半期 | 5/31 |
3907 | シリコンスタジオ | 1/14 | 本決算 | 11/30 |
3935 | エディア | 1/14 | 第3四半期 | 2/28 |
4198 | テンダ | 1/14 | 第2四半期 | 5/31 |
4199 | ワンダープラネット | 1/14 | 第1四半期 | 8/31 |
7035 | and factory | 1/14 | 第1四半期 | 8/31 |