中国・北京経済技術開発区(以下、経開区)は、ゲームおよびeスポーツ産業の発展を促進する新たな支援策(「游戏电竞产业创新发展实施方案」)を発表しました。この政策は、北京市の「全国文化センター建設中長期計画(2019年-2035年)」に基づき、国際的なオンラインゲームの都市を目指す取り組みの一環として策定されたものです。
主な支援内容
支援策は以下の9つの柱で構成されています。
1. 新規進出企業への支援
・地域経済への貢献度が高い企業に対し、個別の支援策を提供
・年間経済貢献額100万元以上の企業に対し、賃貸料の最大50%を補助
2. 研究開発・コンテンツ制作支援
・ゲームエンジン開発などの技術革新に最大300万元の支援
・ゲーム/eスポーツの「技術革新センター」の設立に最大1,000万元の支援
・優良ゲーム作品の開発に最大200万元の支援
3. 人材育成支援
・核となる人材に対する住宅、教育、医療などの優遇措置
・高度人材評価制度への優先的推薦
4. 金融サービス支援
・専門産業基金の設立
・企業の上場支援
5. 公共サービスプラットフォーム構築支援
・ゲーム開発、製品検査、知的財産権サービスなどの公共プラットフォーム整備
・投資総額の最大10%(最大200万元)を補助
6. 産業連携促進
・区内主要産業との連携支援
・年間取引額2,000万元以上の場合、契約総額の1%(最大200万元)を支援
7. eスポーツ会場建設支援
・トップレベルのeスポーツ会場の建設・改築支援
・実際の投資額の30%(最大1,000万元)を補助
8. eスポーツチーム誘致支援
・国内外の有力チームの誘致
・優秀な成績を収めたクラブに最大200万元の奨励金
9. 大会・イベント誘致支援
・国際的な影響力のある大会への支援
・イベント費用の20%(最大500万元)を補助
現地メディアの亦城時報によれば、経開区は2027年末までに、大きな影響力を持つトップ企業の誘致・育成や、国際的なeスポーツ大会の開催、有名eスポーツチームの誘致を目指しているとのことです。
E-Sports Park構想
また、亦城時報は経開区が北京市初となるeスポーツ特化型の街区「eスポーツパーク(E-Sports Park)」を建設するとも報じています。
E-Sports Parkは、2023年に開業した北京スマートeスポーツ競技センター周辺の1.8平方キロメートルに建設される予定。このエリアには、デジタルコンテンツ制作、大会運営、放送制作などの機能が集約され、鉄道駅や高速道路に近い好立地が特徴となっています。
構成としては、創意発生区、基礎データ支援区、付帯ハードウェア研究開発区の3つのエリアに分かれています。創意発生区ではeスポーツチームの活動拠点やゲーム開発施設が設置され、基礎データ支援区ではeスポーツに関連するデータの保存・管理を行い、付帯ハードウェア研究開発区では没入型やインタラクティブな機器の開発が行われる予定です。
また、この街区では産業機能だけでなく、若者向けの商業施設や生活空間も整備され、働きやすく住みやすい環境の創出を目指すとのことです。
今後の展望
経開区の発表によれば、これらの支援策は公布日から3年間有効となります。ただし、一企業あたりの支援総額は、その企業の地域経済貢献度の50%を超えないとされています。
これらの取り組みにより、北京経開区は中国におけるゲーム・eスポーツ産業の主要拠点としての地位確立を目指しています。