今年のGDCで盛り上がったテーマが2つあります。1つがソーシャルゲーム、1つがモバイルです。以前から諸外国と比較してモバイルの市場が確立していた日本では、その両者が絡み合いながらゲーム産業の成長への光となりつつあります。本連載では、長年モバイル業界で活躍してきたサクセスネットワークス代表の北村勝利氏がこれらの市場の現状や将来展望を経営者の立場から語ります。お楽しみに。はじめまして!携帯でゲーム配信する会社をやっています北村と申します。ゲーム畑の出身ではなくITとかモバイル畑の出身です。2年前まではデコメを売ってました(笑)。今回このコラムを始めるにあたって土本編集長と方向性のディスカッションをしたのですが、「現在のゲーム業界の中心話題となっているソーシャルゲームネタが少ないですね・・・」と私から編集長に振ると、家庭用ゲーム機に思い入れの強い土本編集長が、「それはソーシャルゲームはIT系出身者が中心になっているから・・・」と一言。そのリアクションは面白かったですね。家庭用ゲーム機とITって違うんだ・・・そういう感覚があるのね。っていう感じで。ご存知の通り、Facebookに見られるソーシャルゲームの勃興にミクシィ、モバゲーと日本でも一般的になりつつあるソーシャルゲームですが、当初は「あれはゲームじゃねぇ」的な反応が多かったのは事実ですしね。確かにブラウザーゲームという特性上、表現的にも制限が多いですし、カジュアルユーザーがメインとなるので深く作りこむゲームよりも、よりライトな物が受けが良いことから作り手のロマンは薄くなりますよね。ソーシャルゲームで先行するZYNGAやPlayfishといった米企業のセミナーでもゲームの深みや面白さよりもログ分析とかプロモーションといったマーケティングやビジネスの側面が多く語られており、従来のゲームに対する思い入れがある方々には受け入れ難いものもあるのでしょう。ただしこの「思い入れ」こそがいろんな所で問題を起こしている・・・と思っているのですが。ちなみに今回この連載は土本編集長に私からお願いする形で始めさせて頂きました。現在ゲーム業界に身を置くの私の耳には「人が足りない」という超・景気のいい話と、「リストラ・希望退職」といった暗い話題と両極端な話が同時に聞こえてきます。どちらもゲーム業界です。この事はゲームビジネスに携わる我々にとって「時代の変革期」いわんや「ビジネス構造の変革期」に居るということであり、この状況の変化を多くの業界の人々と共有したかったからです。我々が生き残っていくためにも。ゲーム業界の歴史を見ても、アーケード→コンソール→オンライン→公式サイト(携帯)というトレンドがあり今回のモバイルソーシャルに遷移してきています。コンソール系パブリッシャーの経営を救った携帯公式サイトの月額課金もアッパーは見えました。月額課金の文化の無いiPhoneは300万台(*推測です)を超えキャズムを超えた!という見方も出てきました。もっともっと伸びていきます。成長の急カーブと衰退のカーブは比例します。救いであった月額課金は右肩下がりになって行くのは当然の未来です。今年はAndroid元年です。新しいプラットフォームが誕生し一大勢力になっていく瞬間を「傍観するのか!?」それとも「波に乗るのか!?」問われています。市場も、端末も、仕様も、マネタイズ方法も多様化していく今後、「波に乗りたい」というゲームパブリッシャーの方々に向けて「知っておくべき動向」を中心に時代の旬な材料をお届けしたいと思っています。さぁ共に新しい波をキャッチアップしましょう!という事で、今後ともお見知りおき下さい。Twitterもやってます @katz7777 ニュースやデイリーの動向はTweetで、コラムや分析は当連載で展開していきます。 記念すべき第一稿の最後に、私の経営に際しての座右の銘を記してご挨拶に代えさせて頂きます。「最も強い者が生き残るのではない。 最も賢い者が残るのでもない。 唯一生き残るのは変化する者である」(チャールズ・ダーウィン)■著者紹介北村勝利1965年 福岡県生。今年で起業20年。モバイルビジネス10年のキャリア。現在はモバイル系ゲームパブリッシャー、サクセスネットワークス代表。共著に「マーケティング2.0」(翔泳社刊)
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