『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』のヒットで知られるケイブの業績が大きく変化しています。
2023年5月期第2四半期に14億6,500万円の純利益を出したのです。ケイブは2015年4月にリリースした『ゴシックは魔法乙女』の大当たりで2016年5月期に9,500万円の純利益を出しましたが、それ以降は通期で一度も純利益を出していませんでした。
2023年5月期の通期予想は出していませんが、7期ぶりの黒字となる公算が高まりました。業績回復の主要因は、小が大を飲み込んで話題となった『モンスターストライク』のでらゲー買収です。
このM&Aの詳細とケイブの業績の変化について解説します。
経営体制変更後も成果を出せない焦りがM&Aを後押ししたか
ケイブの業績は『ゴシックは魔法乙女』への依存度が極めて強く、利益が出ていないばかりか、売上高の減少に悩まされていました。2022年5月期の売上高は前期比17.3%減の14億900万円。2017年5月期と比較して半分ほどにまで縮小しています。
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※決算短信より
ただし、ケイブは一本足打法からの脱却を図るため、様々な打ち手を繰り出してきました。
ケイブが人事面で大変革を起こしたのが2019年。この年の8月に創業者の高野健一氏が会長となり、秋田英好氏が代表取締役CEOとなりました。秋田氏はゲーム開発ではなく、金融部門を渡り歩いてきたエリート経営者でした。でらゲーの取締役も務めています。『モンスターストライク』の開発に携わった岡本吉起氏は2019年4月にケイブの取締役に選任されていました。
秋田英好氏が経営のかじ取りをするようになると、会社の様子はがらりと変わります。しかし、それが目覚ましい成果に繋がりませんでした。
例えば、2021年9月にベトナムの人材を日本企業に派遣するFIVESTAR BANKを設立し、人材派遣業でキャッシュフローの安定化を図ろうとしました。しかし、わずか1年後の2022年10月に清算を決議しています。
2020年12月にはグローバル戦略の拠点となるCave Interactive Taiwanを台湾に設立しました。この会社も2023年2月に早くも清算しています。
岡本吉起氏を中心とし、2020年3月にスマートフォンゲームの開発に特化した会社スマートフォンゲーム製作委員会を設立しました。ケイブは3億円を出資しています。この会社にはテレビ朝日やでらゲーも出資しています。しかし、2年後の2022年3月に清算しました。
秋田氏の最大の成果となったのが、でらゲーのM&Aでした。