『六本木サディスティックナイト』や『眠らぬ街のシンデレラ Secret Night』など、シミュレーションゲームを得意とするボルテージの業績が上向きません。
2023年6月期上半期の売上高は前年同期間比18.8%減の23億500万円、3,600万円の営業損失(前年同期間は3億2,500万円の営業損失)を計上しました。損失幅は縮まっているものの、肝心の売上高が2割近く減少しています。
ボルテージは新たな成長ドライバーの一つとして、スマートフォンからNintendo Switchへの移行を挙げています。しかし、それも業績改善には寄与しておらず、抜本的な組織改革に着手すべきタイミングが来ているように見えます。
Nintendo Switchのオリジナルタイトルが販売本数1万本を突破するが…
ボルテージは女性向けのドラマアプリで成長しました。2014年にリリースした『天下統一恋の乱 Love Ballad』や『上司と秘密の2LDK』がヒットします。売上高は2016年6月期に112億1,900万円の絶頂期を迎えました。
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※決算短信より
しかし、ヒット作が生み出せずに失速します。2017年6月期の売上高は前期比21.4%減の88億2,000万円。そこから4期連続の減収となりました。2021年6月期は売上高が前期比4.8%増の69億200万円となり、増収。1億5,900万円の営業利益を出しました。
ボルテージは一定の人気を獲得したアプリをNintendo Switch向けに販売し、経費をかけずに一時的に売上高の底上げができました。その成果が続くかに見えましたが、2022年6月期に再び営業損失へと一転します。
2023年6月期に通期業績の予想を出していません。上半期の売上高が前年同期比18.8%の減少で、仮に通期で10%程度減少したとすると、通期の売上高は50億円を下回ります。
ボルテージは2022年6月に、初のNintendo Switch向けオリジナルタイトル『even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女』をリリースしました。このタイトルは2022年11月に販売本数が1万本を突破したと発表しています。
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※「Nintendo Switch™オリジナルタイトル第1弾「even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女」販売本数1万本突破!初のグッズ化も決定」より
販売目標をわずか半年で突破したとしていますが、ポイントはその成果をもってしても2023年6月期上半期が黒字化できていないこと。新分野(Nintendo Switchと電子書籍)単体でも黒字化ができませんでした。
ボルテージはNintendo Switch分野に2億円を投じるとしていましたが、それが業績に目覚ましい貢献をしているとは言えない状況です。