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バンダイナムコスタジオやCygamesなど、ゲーム企業への人材派遣を行うコンフィデンスの業績が好調です。
2023年3月期の売上高は前期比17.5%増の51億9,700万円、営業利益は同25.2%増の9億3,300万円でした。営業利益率は18.0%。同じく技術者に特化した人材派遣を行うテクノプロ・ホールディングスの営業利益率は11.6%で、コンフィデンスの稼ぐ力の強さが際立ちます。
コンフィデンスの2016年3月期の売上高は、2億円にも届いていませんでした。急成長を遂げている同社ですが、死角がないわけではありません。
市場の選択が急成長の土壌に
コンフィデンスは2014年8月に設立された会社。2015年8月、人材派遣を行うスタッフサービス・ホールディングスの取締役などを務めた澤岻宣之(たくし のぶゆき)氏が社長に就任し、ゲーム業界の人材派遣に特化した事業展開を行うようになりました。
2020年4月にはデバッグ拠点を開設。2021年6月に上場しました。
なお、2018年6月にDolphinを子会社化し、メディア事業を行っていますが、この事業の売上高は8,000万円にも届いておらず、ほとんど利益が出ていない上に伸びてもいません。やはりコンフィデンスは人材派遣業がメインの会社です。
ゲーム業界はプログラマーやプランナー、デザイナーなどの幅広い職種で慢性的な人材不足が続いていました。短期間で業績を急成長させた主要因として、市場の選択が挙げられるでしょう。
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※決算短信より
同社は売上高を伸ばしているだけでなく、営業利益率も同時に高めています。2019年3月期は8.7%でしたが、4年間で9.3ポイント伸ばしました。業績を急成長させるきっかけの一つとなったのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。巣ごもり特需が発生し、ゲーム企業の売上高は軒並み急増。コンフィデンスの人材派遣先企業へのクリエイター配属数は、2020年3月末の494名から、2023年3月末には813名まで増加しています。
主要な取引先は、Cygamesとバンダイナムコスタジオ。Cygamesは5億7,100万円で総販売実績の11.0%、バンダイナムコスタジオは5億5,200万円で10.6%を占めています。
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※有価証券報告書より
高ROE企業ランキングトップに隠されたカラクリ
日本経済新聞は7月16日、中堅上場企業「NEXT Company」を対象としてROEを調査し、3年平均値でトップに立ったのがコンフィデンスだったと報じました。コンフィデンスのROE3年平均は56.5%で、2位のファブリカコミュニケーションズは47.8%。8.7ポイントの差をつけています。
ROEは自己資本利益率のことで、株主の出資したお金(自己資本)によってどれだけ効率的に稼いだかを見る指標。2014年に経済産業省が発表した報告書である通称「伊藤レポート」では、8%が望ましいとされていました。コンフィデンスは全産業の目標値を遥かに上回っています。
ただし、このランキングにはあるカラクリがあります。それは3年平均であることと、コンフィデンスの上場が2021年だったことが関係しています。