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2023年12月17日、インディーゲーム開発者を対象としたカンファレンス「Indie Developers Conference 2023」が開催されました。本稿ではそのセッションレポートをお届けします。
インディーゲームながら長期運営を続ける『ことだま日記』
「ゲームジャム発のゲームが100万ダウンロードを達成!~小型ゲームを4年間続く運営型に移行できた秘訣~」は、2023年12月末現在でサービス5年目を迎えるスマートフォン用育成ゲーム『ことだま日記』がたどってきた軌跡を紹介するセッションです。
『ことだま日記』は、シュールでかわいらしい謎の生物「ことだまっち」を育てる育成ゲームです。「ラブリー」、「やみ」、「まじめ」、「ようき」、「クール」という5種類のタイプが用意されたコトダマ(言葉)を選んで食べさせることで、さまざまな姿に成長していく姿を楽しめます。
開発・運営を手がけるのは、インディーゲーム開発チームのSke6(すけろく)。セッションでは、同作の企画・デザイン監修・キャラクター制作を担当するAchabox氏と、企画・テキスト制作・データ管理を担当する小川浩史氏が登壇しました。
「room6 Game Jam」での好評を得て製品化を決意
本作の前身となる『ことだまっち』は、2018年に開催された「room6 Game Jam」で制作されました。デザイナーのAchabox氏、エンジニアのkohei氏、シナリオライターの藤野氏の3人が2日間で作り上げたところ、好評を博して手応えを得たことから製品版のリリースが決まりました。
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Achabox氏とkohei氏は前述の「room6 Game Jam」を主催した京都のインディーゲームデベロッパー・room6の所属です。『ことだまっち』の制作、および商業作品への製品化は“課外活動”だったとのことで、製品化は通常の業務と並行しての開発に。当初は3カ月間の見込みだった開発に、1年間を要しました。
そうした苦労が実り、2019年5月にiOS版とGooglePlay版の『ことだま日記』が同時リリース。また、開発をしながらもインディーゲームを取り扱うイベントへ積極的に出展しました。
リリース前のイベント出展は、制作中のプロトタイプに忌憚のないフィードバックをもらえるという点でも有意義だったとのことです。
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そして、2019年5月にiOS版とGooglePlay版を同時リリース。AppleのApp Storeでフィーチャーされるなど順風満帆のスタートでしたが、わずか3人、しかもそれぞれが通常の(=『ことだま日記』とは関係のない)業務をこなしながらの開発・運営というスタイルに限界が訪れました。コンテンツを縮小せざるを得なくなり、それを受けて売り上げが落ち込んでいく悪循環に陥りました。
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パブリッシャーを得て悪循環から脱出
苦境を打破する一手となったのは、『ことだま日記』に大きな可能性を感じたポラリスエックスの代表者・住田康洋氏がパブリッシングを名乗り出たことでした。