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スマートフォンゲームの運営に強みを持つマイネットが黒字転換しました。
2023年12月期第3四半期の連結業績(2023年1月1日~2023年9月30日)の営業利益は8,100万円(前年同期間は600万円の営業損失)、純利益は1億1,700万円(前年同期間は7,800万円の純損失)となりました。
マイネットは2023年6月末に退職勧奨を実施し、34名を削減。退職金として合計1億円を支出していますが、固定費の削減に成功して利益が出るようになっています。また、3月にはバスケットボールチーム「滋賀レイクスターズ」を売却。経営合理化を進めました。
マイネットはスポーツDX事業としてスポーツファンタジーサービスを展開していますが、更なる事業の選択と集中が必要な局面が訪れているように見えます。
運営特化型モデルの難しさを露呈
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※決算短信より筆者作成
マイネットは2023年12月期の売上高を94億円と予想しています。前年同期比でおよそ1割の減少。5期連続の減収がほぼ確実なものとなりました。
マイネットは、スマートフォンゲームの運営権を取得する運営特化型のサービスを展開しています。2022年10月にディ・テクノから『ひぐらしのなく頃に 命』の運営権を取得。マイネットはもともとこのゲームの運営を受託していましたが、権利を買い取りました。
ユーザーにとってはサービス終了という憂き目を回避できるため、マイネットに運営権が移行することは歓迎すべきもの。しかし、譲受するサービスは人気が一巡しているものがほとんど。受託契約であれば委託料を受け取ることができますが、運営権を取得すると償却負担や運営費が重荷となり、利益を圧迫します。『ひぐらしのなく頃に 命』を取得した後の2022年10-12月のゲーム事業は2,000万円の赤字となりました。
マイネットはタイトル名こそ明かしていませんが、「当期に獲得したタイトルの不調」と説明しています。
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※決算説明資料より
好調なタイトルであれば、運営会社はあえてマイネットに権利を売却する理由はありません。不採算になったタイトルを移管するわけです。マイネットは売上高を伸ばすために運営タイトルの本数を増やす必要がありますが、不採算タイトルばかりが集まってしまいます。受託契約で運営を続けていても、サービス終了になればプロジェクトそのものが終了して収益機会が失われます。
マイネットは、根幹となるビジネスモデルに難しさを抱えているのです。
運営するタイトル数は2019年12月末は36でしたが、2022年12月末には23まで縮小しています。採算性のあるタイトルを獲得できず本数が減っていることが、減収の主な要因です。