バンダイナムコホールディングス2022年3月期の売上高が前期比20.0%増の8,892億7,000万円、営業利益が同48.2%増の1,254億9,600万円となりました。バンダイナムコは主力のトイホビー、ゲーム事業は好調だったものの、アミューズメント施設が新型コロナウイルス感染拡大で休業を余儀なくされ、業績は停滞。2020年3月期の売上高は前期比1.1%減、2021年3月期は同2.3%増に留まっていました。
その遅れを取り戻すかのように、2022年3月期は売上高、利益ともに過去最高を更新しています。
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※決算短信より筆者作成(営業利益率の目盛りは右軸)
2023年3月期の売上高は前期比1.0%減の8,800億円、営業利益は同20.3%減の1,000億円を予想しています。減収減益を予想していますが、バンダイナムコは期首の業績予想を保守的に出す会社です。過去、期首に出した予想と実績の差異を算出すると、売上高は平均で10%程度、営業利益は30%程度予想よりも実績が上回って着地しています(2021年3月期はコロナで先が見通せなかったために期首の予想は出していません)。
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※決算短信より筆者作成
もし、2023年3月期の業績が過去の傾向を踏襲した場合、売上高は9,680億円、営業利益は1,300億円となります。2022年3月期の業績を上回って過去最高を更新することになります。
ガンプラの生産量は倍増か
バンダイナムコはゲーム、トイホビー、アミューズメントなどの事業を行っています。売上高全体の8割はゲームとホビーが占めています。売上高においては長らくゲームがトイホビーを上回っていましたが、2022年3月期にほぼ同じ水準となりました。2023年3月期はトイホビーがゲームを上回る見込みです。
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※補足資料より筆者作成
2021年3月期からトイホビーの成長が加速していますが、主要因となっているのが巣ごもり特需。ガンプラなどの大人層向け商品が全体の4割を占めるなど好調でした。また、コロナ禍で大ヒットを記録した「鬼滅の刃」を早期商品化し、ブームに合わせた商品展開を行うことができました。
バンダイナムコはガンプラの需要が長期化することを見込み、生産拠点である静岡県のホビーセンターに隣接する土地(4,506坪)を2022年4月28日に取得。工場を新設して2024年に稼働開始を予定しています。
2022年3月期の有価証券報告書によると、生産を担うBANDAI SPIRITSの「プラモデル等の生産設備等」への予算を115億2,900万円としています。BANDAI SPIRITSの生産設備への投資額は、毎期およそ50億円程度。工場新設に2023年3月期だけで60~70億円程度を投じるものと考えられます。既存生産拠点の敷地面積は3,709坪。それを上回る面積の土地を取得して大型投資を行う、バンダイナムコのガンプラにかける期待の大きさがわかります。
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※有価証券報告書より