『Against the Storm』『Terra Invicta』などのパブリッシングで知られる、ストラテジーやタクティカルゲームに特化したHooded Horse。同社CEOのTim Bender氏が、ポッドキャスト「The Business of Video Games」に出演した際の、インディーパブリッシャーの内情を語るインタビューの日本語訳が公開されています。
ストラテジー系を専門としたパブリッシャーに可能性を見出す
「The Business of Video Games」は、元Paradox InteractiveのDaniel Goldberg氏とShams Jorjani氏がメインホストを務める、ゲーム業界のビジネスの内情に焦点をあてた配信番組。配信内では、Shams Jorjani氏がTim Bender氏へのインタビューを行っています。
Tim Bender氏は、同社を立ち上げる前は弁護士やビジネスコンサルタントだったという経歴の持ち主。趣味でゲームのMod制作を行っていた中で、ゲーム業界での起業を勧める友人の言葉を受け「ストラテジーやタクティカルゲームを扱うインディーゲーム・パブリッシャー」なら可能性があるかも知れないと思ったと言います。
そんなTim Bender氏が出会ったのが、過去に『XCOM』向けのModを制作したチームが手掛けた『Terra Invicta』でした。ゲームがクラウドファンディングを始めることを知り、同氏が「もし彼らと話ができれば、パブリッシング契約の話もできるのでは?」と考えたのがHooded Horseの始まりだったようです。
収益の35%がパブリッシャー側、残りの65%が開発側
インタビュー内ではパブリッシャーとしての契約についても言及。同社では収益に関してのスタンダードが「パブリッシャーが35%、開発者が65%」であり、リクープ(パブリッシャーが投資費用を回収するために、ゲーム発売直後の売上をすべて獲得すること)は一切行っていないこと、デベロッパーからIPを獲得しないことなどの方針を明らかにしています。
また、パブリッシャーとして開発側から求められているのが“実績”で、2022年に発売したSteamタイトルはいずれも10万本以上の売上を記録し、初年度の売上本数合計は100万本を達成したことも発表しています。この“実績”により、ジャンルに特化した同社が求めた「一貫性」の証明になったようです。
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日本語の積極的なローカライズについての理由も!
Hooded Horseのパブリッシングタイトルは、多くの作品で日本語対応を行っています。この理由について、日本のプレイヤーがSNSなどを通じて積極的にシェアしてくれる協力的な存在であり、ストラテジーやシミュレーションゲームにとって「最も重要な市場のひとつ」であるためと語っています。
さらに、日本のメディアやインフルエンサーたちが積極的にインディータイトルを取り上げてくれることについてもコメント。大規模な広告予算を持たないインディーパブリッシャーにとって、プレイヤーがゲームの面白さをシェアし合ってくれることがとても大きな力になるとして、感謝の言葉を述べています。
なお、現在同社がパブリッシングしている28タイトル中27タイトルの日本語ローカライズが決定し、残りのタイトルも対応待ちの状態とのこと。同氏は日本語を必須言語だと考えており、すべてのタイトルで日本語のローカライズを行っていく予定であることを明らかにしています。
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次ページではHooded Horseがインタビュー内容を抜粋・翻訳した内容を掲載しています。インディーゲームのパブリッシングに関する考え方や、なぜストラテジーやタクティカルゲームに特化など、さまざまな想いや情熱、ビジネス的着眼点が語られるインタビューは必見です!