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任天堂は2024年3月期上半期(2023年4月1日~9月30日)の純利益が前年同期間比17.7%増の2,712億円となり、中間決算で過去最高を更新しました。
決算発表と同時に通期(2023年4月1日~2024年3月31日)業績予想の上方修正も発表。売上高を従来予想比9.0%増の1兆5,800億円、営業利益を同11.1%増の5,000億円、純利益を同23.5%増の4,200億円にそれぞれ修正しました。
ニンテンドースイッチの販売数が伸びている他、映画によるIP関連の収入も増加して利益を押し上げています。映画関連では、ハリウッド版『ゼルダの伝説』が発表されました。任天堂は明らかに新たな企業ステージに入りました。
発売から6年半経過しても販売数が増加する驚くべきゲームハード
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※決算短信より筆者作成
任天堂が2024年3月期の通期業績予想通りに着地をすると、売上高は前期比1.4%減、営業利益は同0.9%減で、わずかな減収減益予想です。
しかし、上半期の業績が驚異的だったのが、売上高と営業利益の両方が増加していること。売上高は前年同期間比21.2%増の7,962億円、営業利益は同27.0%増の2,799億円でした。
増収の主要因は、ハードウェア・ソフトウェアのどちらも販売数量が前年を上回っていることです。ニンテンドースイッチの発売日は2017年3月3日。なんと、発売開始から6年半もの年月が経過しているゲーム機が、今でも前年を上回るペースで売れているのです。
本体は上半期で684万台(前年同期間比2.4%増)、ソフトは9,708万本(同1.8%増)販売しました。クリスマス前の上半期は毎年苦戦する傾向がありますが、その常識を覆したことが任天堂の強さを物語っています。
■2023年4月1日~9月30日のニンテンドースイッチ販売台数とソフトウェア販売本数
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※決算説明資料より
2023年5月12日にリリースして3日で1,000万本という異例のヒットとなった『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』や、アメリカで4月7日に公開した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が、ニンテンドースイッチに手を伸ばす新規顧客を開拓したものと考えられます。
下半期の注目タイトルは、10月20日に発売した『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』でしょう。リリースから2週間で430万本を販売。スーパーマリオシリーズ関連タイトルとしては過去最高の販売ペースを記録しています。
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※決算説明資料より
ゲーム販売が大盛り上がりを見せるクリスマスシーズンと重なること、映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の大ヒットがあったことを考えると、まだまだ伸びるポテンシャルを持っています。
仮に『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』の販売が好調で、2024年3月期通期が増収増益になったとすれば、任天堂のターニングポイントとなるでしょう。ゲーム機の販売に合わせて大きな山を形成し、その後衰退を続けるのが常識だったためです。
IP関連収入は300億円の増収効果を生む
任天堂はゲーム機の販売に業績が左右される体質が弱点でしたが、そこからの脱却を図るため、「任天堂IPに触れる人口の拡大」というテーマを掲げて戦略を構築しました。映画、モバイル、物販、テーマパークなどへと領域を広げようとしているのです。
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※決算説明資料より
この戦略は見事に花開いています。ポイントは数字として成果が出ていること。映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の公開後、スーパーマリオ関連ゲームは盛り上がりを見せました。
『マリオカート8 デラックス』などニンテンドースイッチ向けの「スーパーマリオ」関連5タイトルの2023年4月~9月の販売数は前年の1.3倍、モバイルアプリのユニークユーザー数は1.4倍に増加しています。