受託開発大手トーセが赤字転落、開発プロセスの見直しで危機から脱することができるか?【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

受託開発大手トーセが赤字転落、開発プロセスの見直しで危機から脱することができるか?【ゲーム企業の決算を読む】

受託開発を行うトーセが、2024年8月期(2023年9月1日~2024年8月31日)に5億円を超える営業赤字を出しました。

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受託開発を行うトーセが、2024年8月期(2023年9月1日~2024年8月31日)に5億円を超える営業赤字を出しました。

過去10期を振り返ってもトーセが赤字に陥ったことはありません。赤字の主要因は2割もの減収に見舞われたため。国内の複数のゲーム会社が開発方針を大幅に改めており、プロジェクトの一部が中止。見込んでいた売上が消失しました。

ニンテンドースイッチの次世代機の発売が予定されており、トーセはソフト開発需要の盛り上がりに期待をかけています。プロジェクト管理のルール強化と徹底で、開発中止の影響を食い止める体制を整えるとしています。


フィリピンと札幌の開発拠点を閉鎖

2024年8月期の売上高は前期比20.2%減の46億1,500万円、5億2,200万円の営業損失(前期は4億8,800万円の営業利益)を計上。2億6,000万円の純損失(前期は4億9,900万円の純利益)を出しました。

トーセは2024年8月期の期首に売上高を前期比3.8%増の60億円と予想していましたが、着地はそれを23.1%も下回ったことになります。売上高が50億円を下回ったのは2018年8月期以来。急ブレーキと呼ぶに相応しい決算内容でした。

決算短信より筆者作成

ただし、2025年8月期の売上高は前期比21.3%増の56億円、2億8,000万円の営業利益を出す計画。予想通りに着地をすれば、急回復することになります。

トーセは業績を立て直すため、フィリピンにある子会社と札幌開発センターを閉鎖しており、2024年8月期に1億7,200万円の特別損失を計上しています。フィリピンはオフショア開発の拠点の一つでしたが、在宅勤務への切り替えで一時的に稼働が低下。2021年8月期から3期連続の営業赤字を計上していました。

札幌開発センターは採用活動の強化と機動性の向上を目的として開設したものの、人材獲得競争が激化。見込んでいたような成果を出すことができず、閉鎖を決定しました。

業績悪化からのスリム化に向けた動きは早く、経営陣の危機感が伝わってきます。一方、2つの拠点を閉鎖しても2025年8月期の営業利益率は5.0%と予想しており、2023年8月期の8.4%から3.4ポイント低下する見込み。売上高が本来の水準に戻り切っていない様子も見えてきます。


《不破聡》

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