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5月25日、高知県立大学・高知工科大学 永国寺キャンパスにて「IT・コンテンツアカデミー オープンキャンパス」が開催、学生を中心に152名が参加しました。
全国に先行して高齢化が進行、人口減少が続き、若者は仕事を求め県外へ…という日本の課題が詰まったような地域である高知県。同県はその現状に歯止めをかけるべく、雇用創出のためにIT・ゲーム企業の誘致に注力、努力の甲斐もあり現在は19社が高知県に進出しています。
同県が手がける「土佐まるごとビジネスアカデミー2019 IT・コンテンツアカデミー」は、IT・ゲーム企業で即戦力として活躍できる人材の育成を目的とし、多数の講座を開催予定。本稿では、本アカデミーのオープンキャンパスで行われたLINE株式会社テクニカルエバンジェリストの立花 翔 氏による「行動が運命を作る~令和をどう生きるか~」と題された基調講演と、オープンキャンパス全体の様子を紹介します。
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「ITとの出会いで人生が180度変わった」、LINEテクニカルエバンジェリストの半生
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まずは立花氏の自己紹介から講演は始まりました。広島で生まれ26歳まで愛媛で過ごした同氏は、現在でこそLINEのテクニカルエバンジェリストという立場ですが、高校卒業後、大学には進学せず、フリーターでバーテンダーなど飲食業に携わっていたといいます。この頃は、ITやプログラミングの勉強をしていたわけでもなく、パソコンの操作もおぼつかなかったそうです。
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転機があったのは23歳ごろ。周囲の同級生たちが就職しだし「このままだと抜かれてしまう」という危機感から、当時流行していたブログサービスなら自身でも出来そうだと始めたのがITに関わった第一歩だと言います。「どうすればIT企業に雇ってもらえるのか」と考えた立花氏は、当時住んでいた愛媛の道の駅のホームページを独学で自作、それをもって何社か応募。5社目にして、時給600円でようやく雇ってもらえたと苦労話を披露しました。その後飲食店のグループ企業に転職、店舗のホームページ作成を任せられるようになり、本格的にWEBデザイナーの仕事を始めることに。
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その後、スマホアプリのバブルが到来。立花氏も自身でアプリを作ったところ、これが大当たりし「何もしなくても稼げる」状態に。この頃から個人事業主として活動をしはじめ、Twitter上で自身の仕事の成果を発信していたところ東京の企業からスカウトがあり上京。27歳の頃にGMOインターネットに入社しゲームやアプリの製作、新規事業の開発などに6年ほど携わった後、現在に至り「ITとの出会いで人生が180度変わった」と自身の半生を振り返りました。
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IT・コンテンツアカデミーのラインナップは「トレンドを抑えており、実践的」
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ここで立花氏は、IT・コンテンツアカデミーの講座内容について触れ「トレンドを抑えており、実践的」とコメント。プログラミングなどのスキルを独学かつ徹夜をして身に着けてきた立花氏からすると「この講座を学べるチャンスが目の前にあるのは羨ましい」ということです。
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LINEの令和における戦略は「Fintech」、「Commerce」、「AI」
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LINEは登場から10年でユーザー数が世界で1億6400万人、この成長スピードはITならではであり、プラットフォームを変革させようとしている同社の試みから、変革期には必ず成功者が現れるので、今がチャンスであると語る立花氏。そんなIT業界をリードしてきたLINEは、これからの令和時代に「Fintech」、「Commerce」、「AI」に注力していくと同氏は述べました。
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現在、立花氏はLINEアプリを通じて電子機器とのコミュニケーションができるIoTプラットフォーム「LINE Things」に取り組んでおり、例えば体重計と繋がれば自身の体重をグラフ化しLINE上で管理できる他、ラジコンの操作も可能に。立花氏はLINEと児童の相性が良いと考えているようで、今後はLINEに対応したおもちゃも出てくるのではと予想しました。
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その他にも、ブロックチェーン、エムスリー社と連携し医療分野への進出、福岡市と提携しスマートシティ化の推進など、LINEの今後の展望について述べ、「ITにより新たなサービスが誕生し、ITの未来は誰にも読むことができない。だからこそ誰にでもチャンスがある。」と語り、高知で学べる機会があるみなさんがとても羨ましい、ぜひこの機会に行動をしてほしい、とアドバイスを送り講演を締めくくりました。
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講座紹介と受講者の声
立花氏の講演が終わると、IT・コンテンツアカデミーでアプリ開発人材育成講座の「アドバンスコース」を担当するライフイズテック 讃井 康智氏、「エキスパートコース」を担当するdiv 内藤 誠氏より講座の紹介が行われました。
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ライフイズテックは中学生・高校生のためのIT・プログラミング教育サービスを運営する企業。2019年春の時点で39,000名が同サービスを活用し、これは世界2位の規模だと言います。これまで全国33自治体との連携実績があり、各地域での中高生向けのIT教育、大学生のIT人材育成に携わってきました。讃井氏は「高知で新しい当たり前を皆で共有したい。自分自身のスキルアップも含め、地域に愛着を持った方に講座に来てほしい」と来場者に呼びかけました。
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divはプログラミングスクール「TECH::CAMP」を運営する企業。「人生にサプライズを」と掲げ、これまで10000人以上が本サービスを受講、IT企業やフリーランスでエンジニアとして活躍する人材を輩出してきました。内藤氏は「これから10年でなくならない仕事は創造的な仕事」だとし、今後はテクノロジーを活用して解決できる課題を見つけることが重要になる、それはプログラミングそのもだ、とコメント。「人生にサプライズを与えられる講座を用意しているのでぜひ参加ください。」と来場者の背中を押しました。
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画像右:高知工科大学 2年生 森田 大智さん
続いて、昨年度の人材育成講座を受講したOBから実績の報告があり、現在e-Janネットワークにエンジニアとして勤務する川村友義さんは、元々は損保会社に勤務。プログラミングの経験はなかったそうで、講座を通してプログラミングスキルだけでなく「意思を貫き通す心」を手に入れることができた、とのこと。高知工科大学 2年生の森田 大智さんは昨年度に様々な講座に参加し「大学生こそ参加すべき」と、会場の学生へ発破をかけます。立花氏と同じく「悩んだら行動」をモットーとしており、現在は講座で出会った仲間と企業の準備をしているそうです。
交流会の様子
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講演の後に行われた交流会では、高知県に拠点を構える企業と来場者がお菓子やジュースを手にざっくばらんに意見交換を行っていました。
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首都圏の企業が地方に拠点を構える目的として、人材の確保の面が大きいでしょう。企業を誘致したとしても、そこに戦力たりうる人材がいなければ、企業側からしてみれば進出した意味がなくなってしまいます。「土佐まるごとビジネスアカデミー2019 IT・コンテンツアカデミー」は、企業誘致による雇用先の確保と若者の県外流出の防止、高知県内で人材の育成、そしてその人材が高知県内の企業で働く…と非常に理にかなっている取り組みだと感じました。ネット環境の発達により、どこでも仕事ができる時代。餃子の安兵衛に一時間並ばない場所で、ITを活用して世界を見据えて働く、というのも生産性やストレスの面から考えると、選択肢の一つに十分なり得るのではないでしょうか。
取材協力:高知県商工労働部 産業創造課