カプコンが収益性を高めています。2022年3月期の営業利益率は39.0%。任天堂の35.0%を上回りました。なお、スクウェア・エニックスは16.2%、ソニーのゲーム事業は12.6%です。しかもカプコンは2023年3月期の営業利益を40.0%と強気の予想を出しています。
任天堂は31.3%を見込んでおり、カプコンの好調ぶりがうかがえます。2019年3月期までは10%台で推移していました。2020年3月期から急速に利益率を高めています。
なぜ、営業利益率を高めることができたのでしょうか?
競合とな真逆の戦略、選択と集中を進める
まずはカプコンの業績推移と事業内容から見てみましょう。業績は「モンスターハンター」と「バイオハザード」のビッグタイトルに支えられていることが特徴です。
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※決算短信より(営業利益率の目盛りは右軸)
ビッグタイトルの販売をしなかった2015年3月期の売上高は前期比37.1%減の642億7,700万円。前期に販売して大ヒットした「モンスターハンター4G」が利益に貢献して利益率を高めているのがわかります。
スクウェア・エニックスやソニーは新たなIPを生み出すことに注力しています。しかし、カプコンは既存タイトルを再活用する戦略を明確に打ち出しています。
この戦略をよく表しているのが2022年5月に公開した「事業戦略資料」にある図です。
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※事業戦略資料より
カプコンはパチンコ・パチスロ機の開発やアミューズメント施設の運営、eスポーツイベントなどを行っています。例えば、「モンスターハンター」というタイトル一つをとっても、様々な形で横展開することが可能なのです。
競合他社が”開拓”に注力する一方で、カプコンは”選択と集中”を進めています。なお、集中を進めることで、カプコンが開発費を抑えているわけではありません。2022年3月期の研究開発費は18億7,700万円。売上高の1.7%を占めています。スクウェア・エニックスの同時期の開発費は51億400万円で、売上高の1.4%。異なるのは力をかける場所です。
両社の戦略の違いが今後の成長力にどのような影響を与えるのか、注目のポイントです。