
『ヘブンバーンズレッド』のヒットに支えられて好調だったグリーの業績が、停滞局面に入りました。
2024年6月期第2四半期(2023年7月1日~2023年12月31日)の売上高は、前年同期間比9.5%減の300億2,700万円、営業利益は同38.6%減の20億3,500万円と、1割の減収、4割近い営業減益で上半期を折り返しています。
グリーは2022年6月期から2期連続の増収、営業増益を達成していましたが、2024年6月期は減収、営業減益での着地が濃厚となりました。『ヘブンバーンズレッド』が息切れしていることに加え、成長期待の高いメタバース事業の伸びが限定的。グリーはゲーム、マンガ、メタバース、VTuber、コマース、BtoB向けDX支援、ベンチャー投資など、多岐にわたる事業を展開しています。
事業を拡大しすぎているようにも見え、選択と集中を行う段階にきているのかもしれません。
『ヘブバン』2周年記念のビッグイベント効果も限定的か
グリーは2024年6月期通期の業績予想を発表していません。ただし、主力のゲーム・アニメ事業やメタバースなど、投資事業以外の予想はレンジを持たせて開示しています。
ゲーム・アニメ事業の通期売上予想は、上限でも450億円。これは前期と比較して17%低い数字です。営業利益の上限は60億円で、21%の減少となる見込み。高めに見積もっても売上高、営業利益は2割縮小する予想を出しているのです。
■ゲーム・アニメ事業業績推移

※決算説明資料より
2024年6月期第2四半期(2023年10月1日~2023年12月31日)単体のゲーム・アニメ事業の売上高は104億4,000万円。2022年2月10日の『ヘブンバーンズレッド』リリース以来、四半期の売上高は最も低くなりました。
グリーは、スクウェア・エニックスと共同運営していたスマートフォン向けゲームアプリのRPG『̪シノアリス』のPC版を2023年12月に、モバイル版を2024年1月に終了しています。確かにサービスの終了が減収要因になっているのは間違いないでしょう。しかし、このゲームは完全子会社のポケラボが運営していたもの。『ヘブンバーンズレッド』を運営するWFSの2Q単体の売上高も68億円と冴えません。
■WFSの業績推移

※決算説明資料より
2024年2月に『ヘブンバーンズレッド』は2周年を迎え、『Angel Beats!』とのコラボ企画や「最大150連無料」などのキャンペーンを実施しています。しかし、3Q(2024年1月1日~2024年3月31日)の売上高は前年同期間比28.1%減の114億円、4Q(2024年4月1日~2024年6月30日)を同5.7%増の135億円と予想しています。
2周年記念というビッグイベント期間の瞬間的な大幅増収効果も限定的となっている様相が伺えます。

※「『ヘブンバーンズレッド』リリース2周年を迎えるにあたって『Angel Beats!』とのコラボイベント第2弾を開催」より
『シノアリス』の運営から手を引くという経営判断は妥当?
名作と呼ばれ、ファンが多かった『シノアリス』のサービス終了には賛否両論の声が聞こえてきます。ただし、グリーの経営という側面で見ると、ポジティブな動きと評価できるのではないでしょうか。