eスポーツ事業を展開するウェルプレイド・ライゼストの代表取締役である髙尾恭平氏が、2023年1月31日に代表取締役及び取締役を辞任しました。
髙尾氏は経営統合前のウェルプレイドの共同創業者で、ライゼストと合併した後はCOOを務めて上場をけん引しました。ウェルプレイド・ライゼストが上場したのは2022年11月30日。上場後2か月ほどで代表取締役が退任するのは極めて異例です。
3トップ体制が崩れることを嫌気する声も聞こえてきますが、ウェルプレイドはすでに経営課題を克服している可能性が高く、eスポーツ市場の伸張に合わせて業績を拡大する素地は整ったように見えます。
上場で4億円以上の資産を手に
髙尾氏は自身のブログにて、退任理由を「新しい挑戦をしたいから」と述べています。
高尾氏は上場時に94,000株、12月20日にオーバーアロットメント分64,700株を1株1076.4円で売却しており、税引前の売却額が1億7,000万円を超えています。また、2022年12月2日時点で81,300株を保有しています。ウェルプレイド・ライゼストの株価は4,000円台で推移しており、1株4,000円で計算すると3億円以上の資産価値を持っていることになります。
髙尾氏は海外移住やグローバルなビジネスを展開をしたいといったブログも投稿しています。退任する背景の一つに、次のライフステージに移行するための十分な資産を形成できたことがあるでしょう。
ウェルプレイドは公募価格1,170円に対して初値は5.3倍となる6,200円をつけました。現在の株価も公募価格を大幅に上回り、PBRは41.0倍、PERは68.2倍と高い水準で推移しています。
株価が堅調な要因は2つあると考えられます。1つは業績が好調であること。もう1つはeスポーツという成長産業のど真ん中で事業展開をしていることです。
ウェルプレイドは2022年10月期の売上高が前期比22.7%増の20億5,000万円、営業利益が同64.8%増の2億1,100万円でした。今期の売上高は前期比32.1%増の27億800万円、営業利益は同19.0%増を予想しています。
2020年10月期は赤字ギリギリでしたが、急速に利益率を高めて2022年10月期は営業利益率が10%を超えました。
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※決算短信より
eスポーツビジネスの会社というと実際の事業内容がイメージしづらいですが、ウェルプレイドの事業構造は複雑ではありません。3つのサービスで構成されています。
1つはeスポーツの大会を企画・運営してゲーム会社や広告代理店などからスポンサー料を徴収する「クライアントワークサービス」。もう1つはeスポーツ選手などを抱えてエージェント業務を行う「パートナーソリューションサービス」。そしてeスポーツを町おこしなど新たなビジネスとして立ち上げる「ビジネスデザインサービス」です。
実は主力サービスであるクライアントワークサービスの2022年10月期の売上高は14億円で、前期と比較して2.9%しか伸びていません。
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※有価証券報告書より
しかし、パートナーソリューションサービスとビジネスデザインサービスが育っているのがわかります。ウェルプレイドは2022年10月期に全体の売上高が22.7%増加していますが、別事業を伸張した結果なのです。ここがこの会社の一番のポイントです。