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世界的な人気を誇る戦争をテーマとしたファーストパーソン・シューティングゲームのアプリ版『Call of Duty: Mobile』。8月4日9時(日本時間)からローンチされるシーズン7:ニュービジョンシティにおいて、Netflixシリーズアニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』とのコラボレーションが発表されました。本コラボへの期待を、『攻殻機動隊 SAC_2045』でダブル監督を務める荒牧伸志氏に訊きました。
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『Call of Duty: Mobile』シリーズ最大規模のコラボと謳うゲーム中では、『攻殻機動隊 SAC_2045』主人公の草薙素子やバトーと共にポスト・ヒューマンとの激闘を繰り広げます。さらにBATTLE ROYALE マップ「アイソレイテッド」の新地域「New Vision City」を巡り、ポスト・ヒューマンの敵を倒してオペレーターを強化し、攻殻機動隊 SAC_2045のキャラクターと一緒にミッションをこなし、今までにないBATTLE ROYALE体験をすることができます。また、ボイスも録り下ろしという力の入れ具合です。
登場内容のご紹介
BATTLE ROYALE アイソレイテッド新マップ:New Vision City
『攻殻機動隊 SAC_2045』シリーズにインスパイアされた近未来的な電脳都市「New Vision City」は、謎や永遠の闇に包まれており、高層ビルを覆うサイバーテイストのネオンが光を放っています。
サイバーウェアアビリティ
新しいサイバーウェアの機能で、変化と強化を受け入れ、BATTLE ROYALEでポスト・ヒューマンを倒し、1試合ごとに以下のアビリティのうち1つを獲得:「電脳」、「義眼レンズ」、「強化義体」、「ニューロアップグレード」のいずれか1つを獲得できます。
テーマイベント「素子の軌跡を追え」
『攻殻機動隊 SAC_2045』主人公の草薙素子を助けるイベントを開催。素子はコントロールボードに接続中、トグサの助けを必要としています。トグサに残した手がかりを地図から見つけ出し、ネットワークに接続する手助けをしてあげましょう。
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『攻殻機動隊 SAC_2045』荒牧伸志監督に訊く
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『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズの神山健治氏、『APPLESEED』シリーズの荒牧伸志氏がタッグを組んで制作された『攻殻機動隊 SAC_2045』は、制作:Production I.G × SOLA DIGITAL ARTS / Netflixにて全世界独占配信中。今回、荒牧伸志氏には、特に今回のコラボの経緯や見どころ、期待を寄せる点を訊きました。
――実は『Call of Duty』シリーズは遊ばれていたと聞きました。
荒牧伸志(以下、荒牧):実は、ゲーム全般がずっと大好きだったりします。なので、色々な作品を遊んでいるのですが、『Call of Duty』シリーズを遊んだのは少し前、『Call of Duty : Black Ops 4』(2018)や『Call of Duty : Modern Warfare』(2019)あたりだったと思います。
仕事が終わってから、「夜中に◯時からやろうぜ」と、スタジオのスタッフと一緒によく遊んでいましたね。エイミング(スポーツやゲームの専門用語で、「当てたい時に当てたい箇所へ当てる能力」を指す)が下手なのですが、それでも周りにカバーしてもらいながら非常に楽しんでいました。
今回コラボが発表されたモバイル版を遊んだことはまだないのですが、iPadで別のシューティングゲームを遊んだ時は、他のデバイスと比べて操作が楽で敵を狙い撃ちしやすいと感じたので、本作でも楽にエイミングができたらいいなと思っています。
――『Call of Duty: Mobile』シリーズ最大規模のコラボとなりましたが、改めて今回のコラボについてどのように受け止めていらっしゃいますか?
荒牧:基本的には僕も神山さんも、『攻殻機動隊 SAC_2045』が色んなところに取り上げられ、多くの方の目に留まるのはありがたいです。『Call of Duty: Mobile』は大ヒットゲームなので、良いチャンスを頂いたと思っています。
――今回のコラボでは、プロダクション・アイジーが全面監修をしたとのことですが、どのようなフローだったのでしょうか?
荒牧:基本的に、プロデューサーが細かい打ち合わせをして形になったものを、最後に監督陣で確認しました。ただ、僕らは監修する立場ではありますが、逆に『攻殻機動隊 SAC_2045』という素材を「どんな風に使ってくれたのかな?」と出された物を楽しんで見ている所がありました。
「アニメとはちょっと違っていても、ゲームの中に馴染むにはこっちの方がいいのかな?」という立ち位置で、決して上から目線で干渉することはしていません。
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――あくまでも『攻殻機動隊 SAC_2045』を作品として知ってもらうことが大切で、絶対にこうしなきゃいけない明確なルールみたいなものは設けていなかった?
荒牧:そうですね。やっぱりメディアが変われば、見せ方も変わると思いますので、「草薙素子は絶対こうだから!」ということもなく。もちろん、各キャラクターの本質的な部分はこだわりますが、その中で、「こういうの持たないよ」とか、「こういう派手な銃持ったらちょっと変じゃないの?」とかは口出ししません。
『Call of Duty: Mobile』においても、「このほうがゲームの中では、きっと面白いだろう」と、そこは積極的にその世界に馴染ませられたら、ゲームを遊んでいるユーザーにも喜んでもらえるんじゃないかなと思います。
――実際に上がってきたものを見て、どうでしたか?
荒牧:『攻殻機動隊 SAC_2045』を利用してファンを広げようとしているのではなく、本当に攻殻機動隊が好きで、ゲームで使いたいと思ってのコラボの打診だったのだなというのがすごく伝わってきました。
具体的に言うと、今回の『攻殻機動隊 SAC_2045』で使ったあの風車のシーンを、プロモーション用の映像でも背景でわざわざ作ってくれているのは、作品に対するリスペクトが感じられて、すごくありがたいなと思いました。
――一方で、今回のコラボにおけるキャラクターデザインは、アニメと比べてリアル寄りになりました。
荒牧:僕は色々思惑があって、アニメの劇中ではキャラクター全員の等身を低めにして、草薙素子とかもちょっと可愛い感じにしています。
ただ、シューティングゲームを遊ぶファン層にとっては、むしろこっちのリアルな草薙素子やバトーのほうが「俺たちが待っていた草薙素子だ!」と思う人もいるかもしれないですね。
実は、神山健治監督とも、こういったリアルな感じの等身と肉体で描かれた攻殻機動隊のシリーズがあったら、逆に面白いと話したことがあります。今後それを作るかどうか分からないですけど。
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――キャラクターデザインが変わっても、パッと見て誰だか分かるのは攻殻機動隊をしっかり捉えていることでもありますよね。
荒牧:そのキャラクターらしさみたいなのが認識されているのは、それだけキャラクターが強いんだと思います。
例えば、ゲーム中でも草薙素子がビルからぐるっと回って飛び降りるシーンがあったので、「やっぱそういうの好きなんだな(笑)」と。それが彼女にとって一番象徴的なシーンなんでしょうね。そういうキャラクターとしての魅力を、しっかり掴んでもらえているのは良いことでしょう。
――今回のコラボでは、誰を使ってみたいとかはありますか?
荒牧:ゲーム中でそういったことができるのか分からないのですが、あの草薙素子が先導するのについていくという立ち回りが一番楽しいんじゃないかと、映像を見ていて思いました。アニメでは草薙素子が主人公で切り開いていくわけですから、草薙素子の背中に付いていく視点はゲームならではでしょうね。
――あと、目玉としてはバトルロワイヤルモードで、タチコマに乗って戦うことができますよね。
荒牧:タチコマは絶対コクピットから操縦するとかではなく、勝手に走り回る奴なんで必ずしも正しくはないのですけど、タチコマに乗った視点でプレイできるんだというのも、僕らにとってはすごく新鮮でした。
あと、実は『攻殻機動隊 SAC_2045』ではタチコマのサイズをすごく小さくしているんですよ。それはどうしてかと言うと、人が行ける所には、タチコマも全部行けるようなサイズにする意識があったからです。ビルの中とかでもタチコマと一緒に動けると面白いですよね。
なので、ビルの上をぴょんぴょん飛ぶとか、タチコマならでの行動を主観としながらアクションができると楽しいんじゃないかなと、映像を見ていて思いました。やっぱり、今までアニメになかったような視点が、今回のコラボの新しい魅力だと思います。
――あと、今回のコラボでは電脳化と義体化をゲーム中で体験できるのも注目ですね。
荒牧:バトーみたいに体中に武器を仕込んでいる体で、腕とかの武器を付け替えてどんどん強くしていくみたいなのも、アクションとしては面白くできるんじゃないかな、という考えはありました。今回のコラボでは例えば、強化アーマーみたいに素材を集めて強化したアームパーツを装着することで、殴って敵を攻撃できるみたいです。
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電脳化でも、蜂型のドローンをハッキングして、視野を共有して敵を発見することができる楽しみ方も新たに追加されています。とにかく原作らしさが再現されているのも見どころですね。
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――最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。
荒牧:今回は『Call of Duty: Mobile』過去のコラボの中でも最大規模らしいので、すごく盛り上がっていくと思います。
コラボをきっかけにゲームを遊ぼうとしてくれる攻殻機動隊のファンは、実際に自分たちが攻殻機動隊のメンバーと一緒に戦うという、なかなか今までできなかった体験ができるはずなので、楽しんでもらいたいです。
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僕もまだ全貌が分からない所がありますが、元々の『Call of Duty: Mobile』のファンの方には、電脳化してみたり、義体化してみたりということを、新しい遊び方として楽しんでもらいたいです。そこで、『攻殻機動隊 SAC_2045』に興味が涌いたら、作品を観てもらえると、僕らも嬉しいです。
よろしくお願いします。