M&Aでアメリカの拠点を拡大したGENDAに注目―12月に決算を発表するゲーム関連企業一覧【決算発表スケジュール】

12月はアメリカのミニロケ（スタッフの常駐しないゲームコーナー）を運営するNational Entertainment Network, LLC（以下NEN）を取得したGENDAが第3四半期の決算を発表します。

予定ではNENのクロージングは11月1日。決算発表ではそのシナジー効果に対する手ごたえに言及するのではないでしょうか。本稿では、注目の企業をピックアップするとともに、決算発表を予定する企業を一覧で紹介します。

連載「ゲーム企業の決算を読む」はこちら。

NENの企業価値向上施策の成果はいかに？

12月10日はゲームセンター運営のGENDAの2025年1月期第3四半期（2024年2月1日～2024年10月31日）の決算発表日です。同社は9月9日に通期業績の上方修正を発表。売上高を当初の1,000億円から1,100億円に10.0%引き上げました。2024年1月期の売上高は556億9,700万円。前期のおよそ2倍に急拡大する見込みです。

急成長を支えているのがM&A。GENDAは2024年11月1日にアメリカでミニロケ事業を展開するNENの取得を完了しています。第3四半期の決算に同社の業績は含まれません。ポイントは、この会社の企業価値向上施策への言及があるかどうか。GENDAはアメリカの子会社Kiddletonでミニロケ事業をすでに展開しています。NENの企業価値向上施策として、日本の「Kawaii」文化を象徴する景品を展開することにより、収益性を高めることができると説明していました。

クロージング前からこの取り組みをNENで開始すると宣言しており、経営陣の説明次第でその成果がどの程度だったのかを見極めることができます。なお、Kiddletonの1店舗当たりの売上高はNENの3倍。収益性の向上には期待ができます。

この買収には50億円近くが投じられており、会社の行く末を占うものです。

ANYCOLORは6割の増収で勢いを見せつけてくれるか

12月11日はVTuber「にじさんじ」のANYCOLORの2025年4月期第2四半期（2024年5月1日～2024年10月31日）の決算発表日。1Q単体（2024年5月1日～2024年7月31日）の売上高は前年同期間比16.9％減の74億3,500万円でした。まさかの大幅減収。1Qのもともとの計画（売上高）は81億円～83億円でした。計画の上限を10億円近く下回ったのです。

下振れの要因として、グッズ発送スケジュールの遅延、予定していたイベントの未実施などを挙げていました。

2Q単体（2024年8月1日～2024年10月31日）の売上高は、下限で前年同期間比54.0％増の100億7,000万円、上限で61.6％増の105億7,000万円と、大幅な増収を予想しています。第2四半期累計期間の売上高は前年同期間比16.2％増の180億円を計画しています。つまり、2Q単体は上限の数字でなければ予想を通過することができません。

1Qの減収要因としてグッズの発送が遅れていることを挙げていたことからも、株主からは必達が求められるでしょう。

やや軟調なGLOEの成長戦略に注目

12月中旬に通期決算の発表を控えているのがeスポーツのGLOE。9月12日に2024年10月期通期（2023年11月1日～2024年10月31日）業績の下方修正を発表しました。売上高を従来予想よりも12.7％低い22億7,000万円、1億5,000万円としていた営業利益をゼロに改めています。

不調の主要因となっているのがクライ

アントワーク。eスポーツを軸としたイベントやプロモーションを行うもので、企業や地方自治体などから案件を受注しています。

2024年10月期3Q単体（2024年5月日～2024年7月31日）のクライアントワークの売上高は2億1,700万円で、前年同期間比12.1％の減少。国内のゲーム会社のプロモーションのトレンドが変化し、案件が減少しました。

また、インフルエンサーマーケティングなどを行うブランドプロデュースも売上成長は停滞気味。決算発表では、2025年10月期においてどのような成長戦略を打ち出すのかが最大の関心ごととなるでしょう。