『ドラゴンズドグマ 2』のヒットで増収増益のカプコン、完全新作『祇』で新境地を切り拓けるか?【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

『ドラゴンズドグマ 2』のヒットで増収増益のカプコン、完全新作『祇』で新境地を切り拓けるか?【ゲーム企業の決算を読む】

ゲーム開発という直球勝負でありながら、稼ぐ力が強さが鮮明になりました。

企業動向 業績
『ドラゴンズドグマ 2』のヒットで増収増益のカプコン、完全新作『祇』で新境地を切り拓けるか?【ゲーム企業の決算を読む】
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カプコンの業績が絶好調です。

2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の売上高は前期比21.0%増、営業利益は12.3%増で着地しました。売上高は会社予想を100億円上回る好調ぶりでした。

2024年3月期を語る上で外せないのが『ドラゴンズドグマ 2』のヒット。12年ぶりのシリーズ最新作で、262万本を販売しました。大型タイトルをヒットさせる難易度が上がる中、オリジナルIPがヒットしていることは極めて大きな意味を持ちます。

一方でスクウェア・エニックスホールディングスは3割近い営業減益、バンダイナムコホールディングスはデジタル事業が減収減益。ゲーム会社の明暗が分かれました。

賃上げと営業利益率の引き上げを両立させられるか?

カプコンの2024年3月期の売上高は1,524億円、営業利益は570億円でした。どちらも過去最高を更新しています。開発者の増員、開発投資が増加したことで営業利益率は2.9ポイント下がって37.4%となったものの、成長への積極的な投資を行っているとポジティブに評価すべきでしょう。

2019年3月期の営業利益率は18.1%でした。成長投資を行い、コロナ特需からの反動に見舞われても40%近い営業利益率を維持しているのです。他の企業に目を向けると、スクウェア・エニックスは12.9%、コナミグループが22.3%、ガンホーが26.2%でした。IPによる権利収入はさほど多くないカプコンは、ゲーム開発という直球勝負でありながら稼ぐ力が強い、数少ない会社の一つです。

決算短信より筆者作成

2025年3月期の売上高は前期比8.3%増の1,650億円、営業利益は同12.1%増の640億円を予想。予想通りすると着地営業利益率は1.4ポイント高い38.8%となります。

カプコンは2024年3月期に従業員の給与と賞与を16%増やして291億円、人員数は5%増加の3,187名となっていました。2025年3月期は給与と賞与を11%、人員数を7%増やす計画を立てています。また、開発投資にも535億円(前期比24.3%の増加)を投じる予定です。

しかも、1人当たりの年収は毎年上がっています。2024年3月期は913万円。2025年5月期は4%上昇して946万円となる計画です。

決算説明資料より筆者作成

継続的な賃上げを実現、そして成長投資を行いながら営業利益率も高めるという、理想的かつお手本とも言うべき経営管理を行っています。

また、カプコンのPBRは2024年5月17日時点で5.87倍です。コナミが3.63倍、スクウェア・エニックスが1.83倍、ガンホーが1.18倍。任天堂ですら3.8倍に留まっています。PBRは株価を1株当たりの純資産で除して算出するもので、数値が大きいほど市場の評価が高いことを表します。

カプコンはゲーム会社の中でも高く評価されていることが分かります。

『祇:Path of the Goddess』ヒットで1億本への足掛かりをつかむ


《不破聡》

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